バードマン

2015年04月29日

『バードマン』もういっちょ(ネタバレ)

『バードマン』について、風呂に入りながらちょっと気付きがあったので、
一つ記事を加えて書き添えておく。

ネタバレ注意

冒頭、マイケル・キートンの空中浮遊で始まり、
ラスト、エマ・ストーンの表情から空を飛んでいるであろう
マイケル・キートンが想像できる。
映画内で隕石が落ちて来たり、竜のようなものが現れたり、
ヒーロー、バードマンの姿が現実に現われる所はあくまで
演出として妄想と分かるように描かれている。

だが、冒頭、ラスト、
それとチョコチョコ細かく映るテレキネシス(念動力)映像については
妄想に偽装されている部分もあるが、それが現実であるとしてもおかしくない。

とするなら、マイケル・キートンはあの世界で超能力を使える男なのである。
色々な技法により、自分を他人に見せる、それが演技であるなら、
若かりし彼が演じたバードマンは、誰よりも彼的な存在であるため、
演技とは言えないかもしれない。素の状態でセリフを喋っているだけ。
彼が役者として生きるためには彼と全く違う存在を演じなければならない。
そこで、彼は舞台に出て、等身大の超人でない人間を演じる。

彼は等身大の人間を正しく演じられる。
それは彼が異常な人間(超人)である為に、
自分と等身大な人間の差異をはっきり自覚できるからだ。
だが、無知蒙昧な観客は、その差異を曖昧な空気としてしか認識できない。
だから、彼は観客に自分が超人ではなく、
等身大の人間である事を骨の髄まで信じ込ませなければならない。
彼は実弾の銃を使い、死ぬかのように演じて見せた。
彼は超人なので、死なない事が分かっているにもかかわらず。
観客は度肝を抜かれた。
舞台の登場人物の彼と、役者の演技が完全に一致したからだ。
だが、それは実は死なないのに、死の演技を巧みに演じている彼に負かされている、
そういう状態なのだ。
彼は観客や批評家に演じ勝った。
批評家の舞台しか見ていない狭隘な審美眼では
彼が本当の超人である為に死なない事など分かりはしないだろう。
仮にそれが分かったとしても、それを発表する機会やメディアは
彼女に微笑んではくれまい。
巨大でヒステリーな流れの前では、
一人の評論家の本当に正しい言説があっても届きはしないのだ。

という物語なのではないか?


▼関連記事。
バードマン一つ目@死屍累々映画日記

fjk78dead at 23:44|個別記事コメ(6)トラバ(5)

2015年04月21日

『バードマン』をトーホーシネマズ六本木7で観て、変なのでも悪くないけどそう好きでもないふじき★★★

五つ星評価で【★★★これにアカデミー作品賞と監督賞を与えるのは先鋭的だが頭でっかちな老人がアカデミー会員に多いという事だろう】  

全くもって悪くはないし、飽きる事もないし、ちょっと引き込まれそうにもなるのだけど、どっちかっていうと突き放した感じで冷静に見ていた。ずっと1カットという映像構成に今更驚きはしない。効果として、カメラは漂っていたかったのだろう。後から考えると、その「ふらふら」した感じが主人公の不安感を強く表わしていたのかもしれない。とりあえず、不快な揺れとかがなかったのは良かった。ドラム・パートの強いBGMはメンタリティ強調の効果が強い。この心拍数に近いBGMのおかげで、より強くシリアスなドラマが強調されて見えてるのかもしれない。

次のようにチラシに書いてある

出演は『バットマン』のマイケル・キートン
『インクレディブル・ハルク』のエドワード・ノートン、
『アメイジング・スパイダーマン』のエマ・ストーン。
新旧アメコミキャストという顔ぶれに、
演技派のナオミ・ワッツが華を添える。

ナオミ・ワッツはアメコミ映画こそ出ていないが
『キングコング』で猿真似みたいなことをやらされてるので、
アメコミに対比した「演技派」という位置に置くのは抵抗がある。
舞台で勃起して一部分が緑色の大男になるかどうかは知らないが、
エドワード・ノートンの方がよっぽど「演技派」のイメージが強い。
そういう意味でもエドワード・ノートンはいいキャスティングだ。
本当にクズだったら笑えるけど、
そこまでシニカルなキャスティングはしないだろう
(ナドレックさんの『映画のブログ』を読むと、どうも本当のクズらしい)。

エマ・ストーンは可愛いし、尻がステキらしいから許す。
セリフにあるが、そんなステキな尻に見えないのは撮影監督の落ち度だろう。
脱がしてでもステキな尻に見せてくれんと。
スパイダーマン縛りで蜘蛛糸で縛ってもいいぞ。いや、いっそ縛れ。

マイケル・キートンの身体の衰えをそのまま武器にしてるのは良い。
誰が声やってるか分からないけど、バードマンの声は渋いなあ。
六本木に1/1フィギュアが置いてあったけど、
バードマンのデザインもうちょっとベルトが大きかったら、
かなりショッカー怪人だと思う。


【銭】
トーホーシネマズデーで1100円。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です。
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)@或る日の出来事
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)@yukarinの映画鑑賞ぷらす日記
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)@映画のブログ
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PS 長いサブタイトルがうざい。
PS2 ハリウッド『バードマン2』の企画はこうだ。
演劇で成功した主人公の下に、わらわらとヒーロー役者が集まってくる……


fjk78dead at 10:05|個別記事コメ(21)トラバ(27)