さみしい未亡人なぐさめの悶え

2013年05月20日

荒木太郎の傑作を新橋ロマンで観てどっかーんロマンチックふじき(先々週)

◆『さみしい未亡人 なぐさめの悶え』(ネタバレと言えばネタバレ気味だけど、話の基本フォーマットだからなあ。話さん訳にはいかん。気になる人はパスしてください)

五つ星評価で【★★★★愛田奈々がよいけど、それ以上に出てくるエピソードの映画館愛に打たれる】

荒木太郎監督、愛田奈々(義娘)里見瑤子(長女)出演

愛田奈々がいいんである。
ドキドキする。
そこにいてくれてありがとう、みたいな感じだ。

今回は「新々東京物語」(脚本時の題名)。
ちっ、そう分かっていれば「東京家族」だって見ておいたのに。
小津の奴は大昔、見た筈だから話のフォーマットは知っている。
久々に息子のところを尋ねたら長男、次男夫婦に邪険にされたが、思いもよらずに三男に優しくされて、みたいなウロ覚えだなあ。

で、邪険にする長男に荒木太郎監督本人、
邪険にする次の兄妹に里美瑤子、成人映画なのでどっちも濡れ場が入る。
子供には子供の生活がある。みんなギリギリでやってるから生活を乱す者には優しくない。今の時代に作るとどうしても子供の方が正義っぽく見えなくもない。かと言って親の目の前でSEXしなくてもいいとは思うが。そして末っ子は東日本大震災で死んでいて、義母はその嫁と月命日の墓参りで出会う。生前は二男を軸に対立していた義母と嫁は二男の思い出で邂逅する。

普通にいい話なんだけど、ぐっとくるのは被災地の映画館のエピソード。

愛田奈々「震災で水没していた映画館が再開していたんです。
 84歳のおじいさんが総支配人なんですが、
 戦争の辛さに比べたら、何て事ないって言っていた。唯一の救いですね」

 そこに昔、夫婦で映画館に通った映像。

実際に再開して、その再開が映画を作るきっかけになったんだそうです。
何もない建築のインフラさえ整ってない土地で映画館を作り直すってのも凄いけど、それをすかさず撮りに行っちゃう荒木監督のフットワークの軽さも偉い。もともと荒木監督は各地の映画館で撮影をしたり、映画館と距離が近い人なのだ。

映画ラストに献辞が贈られる。

「津波の被害に遭いながら、再会した石巻日活パールシネマに
 心からの尊敬と感謝をこめて」

壊れた映画館を直して、そこで新しい文化を産もうとする人がいるくらいなのだから、人だってやり直せる。人だって再生できる。甘いと言えば甘いかもしれないが、そういう正論は時に全く甘いままでよい。


◆『淫虐令嬢 吸いつく舌』
五つ星評価で【★★★投げっぱなしホラー】
池島ゆたか監督、夏海 碧主演作品。

この夏海 碧ちゃんが蛇女なんである。
物凄い蛇女感。そしてエロい。ええのう。

ただ話のオチはなく、蛇女がいました。蛇女怖いです。呪ってます。
で、終わってしまった。勿体無いなあ。全役者の好演に星一つサービス。


◆『義姉のうずき 揉んで誘って』
五つ星評価で【★か★★】
関根和美監督作品。

えーと、田舎にいれなくなった弟が東京に来て
兄の事実婚嫁と仲良くなって一緒に田舎に帰ってくる、
ピンク映画ならではの軽コメディーだが、
怒涛のように記憶が残っていない。
熟睡したかどうかすら覚えていない。


【銭】
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