49歳で電車の運転士になった男の物語

2016年08月16日

『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』を神保町シアターで観て、ガラガラやったけどええ映画やんふじき★★★

152425_1
▲中井貴一って割と役者として信用してるな。

特集「鉄道映画コレクション」から1プログラム。

五つ星評価で【★★★家族の映画】
初見。10人いないくらいの客席はちょっと寂しいが
個人的には空いてる方が気楽でいい。

中井貴一演じる大企業に巣食うイヤミなエリート主人公が、
親友の死や母の大病を契機に自分を見つめ直し、
良い息子、良い父親、良い夫、良い社員になる話。
今、流行りの歌詞でいうところの
「♪NO1にならなくていい。そのまま大切なONLY1」みたいな(おいおいおい)。

中井貴一が大企業の部長職を辞職して、
49歳の電車運転士に転向する主人公を演じるが、
前半の全てが仕事優先であるイヤな顔の時と、
電車運転士になって我が薄れ、仙人のようになっていく後半の落差が凄い。
後半ラストの中井貴一は「芸能人」と信じられないくらい
「カリスマ性」や「オーラ」が削ぎ落とされてる。
このままもう一歩進めて記憶喪失の浮浪者とかになってもそんなに違和感ない顔よ。

お話は長めだけど、色々な視線や角度から人生を掘り下げているので退屈はしない。
前の会社を辞職するエピソードや、親友の死とその息子のエピソードなど、
踏み込み不足を感じる部分もある。
でも、その人の全て何もかもを知らんでも大丈夫と思えばこれでいいのかもしれない。

娘に本仮屋ユイカ。実力のない正論者という位置付けにピッタリ。
父親中井貴一との関係、祖母奈良岡朋子との関係しか語られないので、
この子自身の魅力は実は伝わってこない。「ええ娘さん」でしかない。
ちゃんと演じられる子役をGETできるなら小学生の女の子でもいい役。
別に本仮屋ユイカちゃんはちゃんと演じていたけど、
全体の為に役を膨らませないという貢献の仕方もあるのだな。

ふと気づくと妻や母さんを演じている宮崎美子は、この映画ではヘルパー役。
しかし「ふと気づくと妻や母さんを演じている」って
「癖(ヘキ)」みたいに言うなよ、俺。

中井貴一の妻役が高島礼子。
夫婦共稼ぎの中で自立し、夫との関係に離婚をも視野に入れて悩む役柄が
今の彼女にシンクロしすぎてて痛々しい。
主婦役とかだと無駄に高知東急を連想させちゃうので、
もうこれからはアイパッチして男を寄せ付けないような役の方がいいかもしれない
(案外そういう無法者キャラが似あうのだし)。

映画に出てきた一畑電車のデニハ50形。80年も動いていて、木製の車両なので大工がメンテナンスしてるなんてエピソードが面白い。電車にカンナ入れるなんて初めて見た(まあそらそうだろう)。知らん事を知るのはおもろい。


【銭】
神保町シアター正規入場料金1200円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語@ぴあ映画生活

fjk78dead at 21:29|個別記事コメ(0)トラバ(0)