菊池凜子

2013年12月21日

『47RONIN』を109シネマズ木場5で観て、これはこれそれはそれふじき★★

五つ星評価で【★★忠臣蔵でない事に関してはどうでもいいんだけど、単純にテンポ悪くて見せ場の見せ方が悪いので映画としては残念。皆で見終わった後、話が弾みそうだからつまんなくても映画としての存在価値は高いと思う】

日本語吹き替え版2Dで鑑賞。

映画が始まってすぐにニューギニアの大怪鳥みたいな奇天烈な化け物を狩る中華武士の群れみたいなビジュアルにぶつかるので、これが忠臣蔵として正しいかどうかを考えるなんて無駄としか思えない。

インスパイアされたらしいにも関わらず、忠臣蔵で日本人が好む「悪名の下ずっと耐えに耐えた1年間」が「とりあえず1年くらい経ったでよお」みたいに5秒で済まされたのには笑った。基本、発端と大団円だけで中身をゴッソリ削ぎ落とした、皮だけで虚勢を張ってる剥製みたいな映画だ。でも、大きく「忠臣蔵」って声高に主張する宣伝をしなかったので、脱線はしてても「まあ、いんでね」くらいに好感を持っている。

ビジュアルは面白い。
武士が一切、月代(オデコ前面)を剃ってないのは、考証的にはかなり違和感があるのだが、まあ「ぱちもん日本」だからしょうがないな。質素な衣服や日本刀が結構らしく見えるから、武士のデザインは全体的によく持ちこたえた方だと言える。あのボロ衣服で月代だけ剃るってビジュアルは外人が納得するには難しいからやらなかったのが正解かもしれない。

武士の宮殿(笑)にいる何かキラキラした人たちが明らかに「チャイナ日本」。衣装の類いは一回、日本風の物を作った後、美的にアレンジしていったと言われているが、そのアレンジのベクトルがあからさまに外人が好きそうなオリエンタル(中国風)に向かっている。まあ、それもよかろう。武家社会って男ばっかりだから、対外的な饗応の場で女官が山のようにいるのも違和感はある。武家の饗応は白黒や侘び寂びを基調とした如何に節制を効かして至高に達した物にするかだと思うが、無節制で豪奢にする方向にお金をかけて派手派手になってる。石井輝男が監督だったらきっと蛍光色とか使ったに違いない、目に悪い。でも、この辺りは些末な問題だ。

妙な和服だ柴咲コウ、エリ部分をちょっと変えるだけでああも和服らしくならなくなるというのは新発見。そして、あんなにユルユルに着てたら風邪ひくだろう菊池凜子。あっ、凛子の大魔術「きれっぱしから登場」は面白かった。

松の廊下やらないのか。
なんか吉良演じる浅野忠信が天下を取る布石として浅野家を滅ぼすみたいな話になってる。元禄から戦国時代に逆戻りするのか。実はこれが一番斬新な改変だ。魔王吉良を退治するAKB47。センターはキアヌ、団長タカミナは真田、秋元康は田中泯か、泯ちゃん立派に演技してすぐ死んでもうた。吉良が若くて浅野がヨボヨボにも驚いた(松の廊下やらんからこれで問題ないんだけど)。

キアヌは主役だけど、まあ、外人として誰か入れとかないとってスタンス。決して悪くないから、よくやってると思う。この映画の中での超自然的人格はキアヌ(鬼)、菊池(魔女)、特撮(天狗)の三つに大別されるのだけど、これを全部外人=非日本人が演じたら、面白い文化批評になったのに。

この映画で一番かっけーのは真田広之。棚からぼた餅的にかなり主役を食ってる。

悪い奴が浅野忠信と菊池凜子とでっかい武者侍くらいしかいないから、浅野は目立つ。
これで浅野が目立たんようなら映画として成立せん。なので浅野はよかった。

主に吹替えがダメ出しされてる菊池凜子。桃井かおりみたいでええやん(笑)。
菊池凜子の演技が上手いとは常日頃から思ってないが、周りが普通な演技の中、凜子だけは演技が特殊だから、難易度は高かったと思う。

あの吉良側のでっかい武士がキアヌに
「I am your father」と言うんだな。そうだな。

四十七人はもう誰が誰だか。1年を通したそれぞれの役割がないんだから十人くらいで充分だった。そいでまた殺陣が集団戦だし。集団戦の場合は明確に勝つ理由や戦いの流れや勢いをちゃんと見せてくれないと、振りになってしまう。振りになってしまっていた。

本当に日本人が作ったらキアヌは切腹させてもらえないよね。
その場合は多分、誰か(例えば大石息子)の代わりに
仮面かなんか被って切腹するんだろうなあ。


【銭】
毎月10日109シネマズのサービスデーで1000円。

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PS 版違い
 もし天狗がキアヌたちに刀を与えなかったら
 キアヌも真田さんもみんな丸腰だけど犬のコスプレをして吉良の居城に向かう。
 そう、生類憐みの令があるから、吉良方は浅野の侍を決して斬る事はできないのだ。
 噛み殺して四十七士の勝ち
 (チャンチャン)


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