脳男
2013年03月04日
『脳男』を109シネマズ木場4で観て、不思議な改変だなふじき★★★(ネタバレ気味)
五つ星評価で【★★★原作との違いが面白い】
雑然とした映画だったからか、思った事も雑然としたままです。
特に深い考えもなく、それこそなんとなくという無造作さで
映画を観る前に原作を読んでました。
原作は面白いのだが、読み物としてのバランスが悪く、
これを映像化するのは大変だ、
どうやってこの難攻不落を崩していくのだろうと、
そっち側に興味を沸かせながら見に行きました。
原作の大半は「脳男」がどんな特性を持っているか
どのようにして生まれ、どうして今に至ったかを描いている。
つまり、キャラを立てる事を第一にしていて、
その後に最初の事件に戻り、脳男の能力の発揮により事件を解決させている。
作りは映画と同じだが、
原作では圧倒的に脳男の出自を探る部分が長い。
映画を見て、この部分がかなり伐採されている事が分かった。
でもまだ足りない。もっと思い切って伐採しても大丈夫だ。
というのは、ここは映画としては見せ場になりづらい部分なのだ。
ここは脳男がどのようにして成立したかの注意書きみたいなものである。
小説の形であれば、アカデミズムを刺激して面白く読めるが、
映画の物語の中でドラマを一時中断して、
教養を語り出すのはよっぽどの技術力がない限り娯楽化できない。
なので、ここは脳男の背景がさらっと語られさえすればいい。
内面やシステムを語るのに映画は適さない。
映画は主人公の行動で見せるのだ。
という点も含めて生田斗真の演技がメチャクチャ面白い。
あの演技に一番近いのは『オー・マイキー』。
冗談じゃない。本気だ。
命のないマネキンがいきなり動き出した時の質感に演技が非常に似てる。
恐るべし。生田斗真
そして原作では悪知恵は働くが、脳男と比べるとランク落ちる感が否めなかった
爆弾魔が映画ならではの設定で脳男と並び立ってる。
脳男は自然が生み出した逡巡のない殺人鬼。
爆弾魔は努力して苦労して脳男の領域に到達した殺人鬼みたいになってる。
『装甲騎兵ボトムズ』の人工完全兵士と野生の完全兵士みたいだ。
脳男が特殊すぎるので対比に意味がない事は明白だが、
ふっと「それもありかも」と思わせるくらいに持ってってるのは偉い。
この辺の演技は生田斗真がコアになり、
対比となる生々しさを出す事で二階堂ふみがとてもいい。
生田斗真の身体がプラスチックで出来ているなら、
二階堂ふみの身体は生理用品にこびりついてるオリモノで出来ているかのようだ。
二階堂ふみはプラスチックに嫉妬する。
プラスチックを壊そうとするがプラスチックは存外強靭だ。
どちらにしても人外の戦いであり、それは面白くもあり、面白くもなし。
視線が定まらず常人か常人じゃないのかが判別難しい染谷将太もいい仕事してる。
残念なのは常人側を代表して出番が多くて損してしまった松雪と江口。
松雪泰子は生田斗真の無感情と対比するためか、
常に悲しみの感情が顔の前に漂ってる。
この人はクール・ビューティーな人だから、真逆のキャスティングだ。
泣きの松雪に怒りの江口。
江口は冒頭から最後まで怒り通しで、単に下町の気性の荒い雷親父に過ぎない。
明確な理由もなく感情だだ漏れで怒っても、記号としてしか伝わってこない。
あと、『踊る大捜査線』以降のドラマで
あんなに簡単に拳銃を所持したり、撃ったりしてはいかん。
日本はロサンゼルスでも北斗の拳の人類滅亡後の世界でもないのだ。
江口と生田斗真の絡みが原作と異なり、セリフが少ない。組み合ってばかりいる。
なので、江口の刑事としての質の良さも出なければ、
生田斗真が爆弾魔の機先を制していく異能振りも出せなかった。
全般に出自をもっと切り、病院での対決を長めの核にしながら、
爆弾魔 対 脳男の 先手 後手 が分かるような頭脳戦にすべきだった。
松雪の母の件は面白い追加。
それぞれの部屋の構図などが異常に心理学的な考察がされてるっぽい。
だからあまりにも生活感があったりなかったりで、
映画全体が気持ち悪い妙な肌触りになってる。
こんな狂った人間ばかりの(常人も感情だだ漏れだったりで変)世界なので、
カワイコちゃんが一人いさえすれば、凄く映画自体が救われたかもしれないのに。
とか言いながら事務所の力でゴーリキさんが出たりしたら台無しだ。
川口春奈ちゃんが一人欲しかったな。
でも、爆弾がバカスカ爆発する中、異能な動きを見せつける生田斗真は面白い。
多分、結局、生田斗真が面白ければそれでこの映画は8割方まあ大丈夫なのだ。
【銭】
レイトショー割引で1200円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
・脳男@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です。
・脳男@新・映画鑑賞★日記
・脳男@あーうぃ だにえっと
・脳男@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
PS 『うの男』っていうから、
生田斗真が無表情でパンスト売るのかと思ったよ(嘘)。
PS2 キング・クリムゾンってよう知らんかったけど、
あれが最後に「じゃーん」と来るのはとても気持ちがいい。
雑然とした映画だったからか、思った事も雑然としたままです。
特に深い考えもなく、それこそなんとなくという無造作さで
映画を観る前に原作を読んでました。
原作は面白いのだが、読み物としてのバランスが悪く、
これを映像化するのは大変だ、
どうやってこの難攻不落を崩していくのだろうと、
そっち側に興味を沸かせながら見に行きました。
原作の大半は「脳男」がどんな特性を持っているか
どのようにして生まれ、どうして今に至ったかを描いている。
つまり、キャラを立てる事を第一にしていて、
その後に最初の事件に戻り、脳男の能力の発揮により事件を解決させている。
作りは映画と同じだが、
原作では圧倒的に脳男の出自を探る部分が長い。
映画を見て、この部分がかなり伐採されている事が分かった。
でもまだ足りない。もっと思い切って伐採しても大丈夫だ。
というのは、ここは映画としては見せ場になりづらい部分なのだ。
ここは脳男がどのようにして成立したかの注意書きみたいなものである。
小説の形であれば、アカデミズムを刺激して面白く読めるが、
映画の物語の中でドラマを一時中断して、
教養を語り出すのはよっぽどの技術力がない限り娯楽化できない。
なので、ここは脳男の背景がさらっと語られさえすればいい。
内面やシステムを語るのに映画は適さない。
映画は主人公の行動で見せるのだ。
という点も含めて生田斗真の演技がメチャクチャ面白い。
あの演技に一番近いのは『オー・マイキー』。
冗談じゃない。本気だ。
命のないマネキンがいきなり動き出した時の質感に演技が非常に似てる。
恐るべし。生田斗真
そして原作では悪知恵は働くが、脳男と比べるとランク落ちる感が否めなかった
爆弾魔が映画ならではの設定で脳男と並び立ってる。
脳男は自然が生み出した逡巡のない殺人鬼。
爆弾魔は努力して苦労して脳男の領域に到達した殺人鬼みたいになってる。
『装甲騎兵ボトムズ』の人工完全兵士と野生の完全兵士みたいだ。
脳男が特殊すぎるので対比に意味がない事は明白だが、
ふっと「それもありかも」と思わせるくらいに持ってってるのは偉い。
この辺の演技は生田斗真がコアになり、
対比となる生々しさを出す事で二階堂ふみがとてもいい。
生田斗真の身体がプラスチックで出来ているなら、
二階堂ふみの身体は生理用品にこびりついてるオリモノで出来ているかのようだ。
二階堂ふみはプラスチックに嫉妬する。
プラスチックを壊そうとするがプラスチックは存外強靭だ。
どちらにしても人外の戦いであり、それは面白くもあり、面白くもなし。
視線が定まらず常人か常人じゃないのかが判別難しい染谷将太もいい仕事してる。
残念なのは常人側を代表して出番が多くて損してしまった松雪と江口。
松雪泰子は生田斗真の無感情と対比するためか、
常に悲しみの感情が顔の前に漂ってる。
この人はクール・ビューティーな人だから、真逆のキャスティングだ。
泣きの松雪に怒りの江口。
江口は冒頭から最後まで怒り通しで、単に下町の気性の荒い雷親父に過ぎない。
明確な理由もなく感情だだ漏れで怒っても、記号としてしか伝わってこない。
あと、『踊る大捜査線』以降のドラマで
あんなに簡単に拳銃を所持したり、撃ったりしてはいかん。
日本はロサンゼルスでも北斗の拳の人類滅亡後の世界でもないのだ。
江口と生田斗真の絡みが原作と異なり、セリフが少ない。組み合ってばかりいる。
なので、江口の刑事としての質の良さも出なければ、
生田斗真が爆弾魔の機先を制していく異能振りも出せなかった。
全般に出自をもっと切り、病院での対決を長めの核にしながら、
爆弾魔 対 脳男の 先手 後手 が分かるような頭脳戦にすべきだった。
松雪の母の件は面白い追加。
それぞれの部屋の構図などが異常に心理学的な考察がされてるっぽい。
だからあまりにも生活感があったりなかったりで、
映画全体が気持ち悪い妙な肌触りになってる。
こんな狂った人間ばかりの(常人も感情だだ漏れだったりで変)世界なので、
カワイコちゃんが一人いさえすれば、凄く映画自体が救われたかもしれないのに。
とか言いながら事務所の力でゴーリキさんが出たりしたら台無しだ。
川口春奈ちゃんが一人欲しかったな。
でも、爆弾がバカスカ爆発する中、異能な動きを見せつける生田斗真は面白い。
多分、結局、生田斗真が面白ければそれでこの映画は8割方まあ大丈夫なのだ。
【銭】
レイトショー割引で1200円。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
・脳男@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です。
・脳男@新・映画鑑賞★日記
・脳男@あーうぃ だにえっと
・脳男@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
PS 『うの男』っていうから、
生田斗真が無表情でパンスト売るのかと思ったよ(嘘)。
PS2 キング・クリムゾンってよう知らんかったけど、
あれが最後に「じゃーん」と来るのはとても気持ちがいい。