田中泯

2014年06月22日

『祖谷物語 おくのひと』をユーロスペース2で観て・・・ふじき★★★

五つ星評価で【★★★活劇だったら】  
ハイキックの武田梨奈と、
『たそがれ清兵衛』で人外の魔剣をものしたように見えた田中泯と、
『さよなら渓谷』のレイプ魔大西信満がぶつかり合う。
寒村の舞台には謎の外人と、
使い魔、式神を思わせるソフト案山子が跳梁跋扈する。

こ、こんな伝記アクション映画向けなキャスティングなのに、
そうか、そうか、そんな風に撮るのか。
個人的には武田梨奈と田中泯の一騎打ちと
襲い掛かってくる無数の式神案山子との戦い、
それと、大西信満に襲われる武田梨奈は見たかったは見たかった。

武田梨奈、撮ってる側が愛情込めてるからか、
アクションなしでもちゃんと成立してる。
めんこくて、とてもいい娘だ。

田中泯も大西信満も誠実に役に取り込んでいる。

後半、武田梨奈が都会に出る所からが
話が大きくうねるところだが、バランスから行ったら
この前の部分が長すぎる。
田舎と都会を対比するにしては都会が短すぎて
どうにも「都会も付けておきましたから」感が漂ってしまう。
都会の場面全体を制御するクールな青の色は綺麗で好き。

映画全体3時間弱で、
ちゃんとそれに見合ったものを映画から与えてもらったとは思うが、
見ている観客が私も含めて老体が多かったから、
もちっと短くしてもらった方がみんな楽だよ(あー人のせいにしてしまった)。
興行もあまり長いとかけづらいし。

いや、興行の事を言うなら武田梨奈の脱ぎを!
(期待させて空振りすんのはいくないぞ)


【銭】
映画ファン感謝デーで1100円。流石にこれに通常料金払うのは気が引けるし、バルトの売りだったシネマチネーは1400円ってつまんない額にあがっちゃったし。

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祖谷物語 −おくのひと−@ぴあ映画生活
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祖谷物語 −おくのひと−@お楽しみはココからだ

PS 外人の自然保護団体が開発阻止のためにトンネル開通を反対していたのに、
 トンネル開通後はそのトンネルを使って帰っていくのが皮肉だった。
 高邁な理想も簡便さには勝てない。

fjk78dead at 10:05|個別記事コメ(0)トラバ(1)

2013年12月28日

『永遠の0』を新宿バルト9シアター9で観て、イビツだとしても好きよふじき★★★★(ネタバレあり)

五つ星評価で【★★★★おそらくイビツな映画】

ラストについてのネタバレがあります。

原作未読。
これには泣かされる。
でも、私はひねくれ者だから、
映画としては変な作りじゃないかって異は唱えておきたい。

普通の物語から考えると、かなり特異な構造だ。
物語の主人公について全て伝聞で語られるが、
語られる主人公についての証言は主に「彼が臆病か否か」
それのみに尽きるのである。

どんな人間でも多面的な側面を持つが、この映画ではキッパリ
一面だけを切り口にして他を落としてしまっている。

そして、その反証である「臆病でない人間」についても、
その「臆病でない人間」が「どう臆病でないか」を語る事を秘かに避けている。

「臆病でない」が故に、国の政策に統制され、
反抗せずにその政策を呑みこんだ者の死に様は映されるが、
どう呑み込み、乗り越えて死を納得したかについては描写されない。
今まで特攻に付いて描いてきた映画は全てこれを題材にしてきたから、
逆に今回は一切盛り込まない事でバランスを取ったのかもしれない。

だから、これは描写されるべき長大な全貌から
一つの視点だけを元に、一人の男の名誉回復を試みたダイジェスト戦記である。
そのダイジェストの中で描かれる主人公の生き様は完全ではないが美しい。
だが、だからと言って、そこで描かれなかった
彼が死を見守った教え子達、戦友達の人生が決して
描くに値しない人生でないという事も忘れてはならない。

多分、私は呑みこまれて自ら殺されていく大衆側だろうから、
彼等の存在を完全に否定されてしまうのは、ちょっと抵抗があるのだ。


という訳で、物語はいい場面をザクザク切り出している。
そこを演じる役者がみんないい演技をしているから、
切り出されたものである事すら忘れて納得いってしまう。感動してしまう。
物凄く強調された歌舞伎の見栄みたいなのを現代劇で見せられているかのような状況だ。それが、高齢のどしっとした役者さんの演技の説得力に置き換えてやられるのである。うん、まあ、大衆的な娯楽としてこういう強さは肯定していいと思う。

特に田中泯。
今まで映画に出てくる田中泯を見て悪かった記憶は一切ないのだが、
この映画ではもう、こういう人間がいて、こういう感情を目の前で高ぶらせている、
その現場に立ち会わされてる、としか思えない至高の演技だった。
紅白で放送禁止歌になっていた『ヨイトマケのうた』
朗々と歌った美輪明弘を思い出した。芸って凄いな、怖いな。
『47RONIN』『47田中泯』だったら、最高の映画だったかもしれないなあ。

次にその田中泯の若き頃を演じた新井浩文の愚連隊ぶりがいい。
今、こういう生まれながらの粗暴粗雑な人間を演じ切れる役者は少ないと思う。
粗暴粗雑だが極めて有能。
特攻には反対だが、自分の命の優先順位が一番とは思っていない。
主人公に社会との折り合いをもうちょっと持たせたタイプ。
そもそも、この主人公は戦線で戦闘放棄に近いことをやるなら
「死ぬから戦場には行かない」と言って思想犯として逮捕される方が
彼の合理性の中では正しくないか? 
まあ、戦中事情もはっきり知らないから断言はできないが。

あと、当然、主役の岡田准一はいい。
彼がよくないと立派な大笑い屑映画になってしまう。
最近、ジャニーズが主役の映画で役不足なタレントを何本か見てきたが、
彼はもう完全に役者として生活できる力を持っている。
彼がラストシーンで笑う。
何だか、不可能事を反転させた明朗快活な笑いではなく、
卑屈な笑いだった。
この卑屈な笑いが好きだ。

生き残るために積極的に戦いに加わらず、
技量があるにもかかわらず、同僚の死をも見逃すような戦闘機乗りだった彼が、
終戦直前には、特攻機を守り、確実に同僚に死を与える役回りになる。
この罪の意識に彼は耐えられない。

彼は自分が戦地から帰りたい為に、
彼以外の「戦地から帰りたくても、それを口にもできない同僚の」命を刈り取る役目に回ったのだ。つまり、彼は毎日、彼の分身を殺す役割を担ってしまった。多くの彼の妻や子供を泣かすような立場にいる彼が、戦争から戻って、彼の妻と、彼の子供にだけ会っていいのか。葛藤が続く中、彼は自分も刈られる側になることを志願する。

彼の戦闘機を助けた教え子が戻り、同じ特攻作戦に参加する。
そして、その時、彼の自機が調整不良だったことは偶然だろう。
彼は調整不良の(助かる可能性の高い)機体を教え子に差し出す。
機体を取り換え、その機体にその場で書いた手紙を隠した時点で、
彼は生還を断念している。
自分の血塗られた腕で彼の妻と子供に対峙することが怖かったのではないか。
彼が代わりに差し出したのは、捨て身で味方を助けた男、
戦争が終わったら、人の役に立つ仕事をしたいという男
絶好の代役だ。

そして、特攻。
高い操縦技術で空母まで途中撃破されず近寄る。
もっと早くこの技術を使っていれば、散らずに済む命もあったかもしれない。
特攻によって、他の命を犠牲にして永らえた彼の命は失われる。
最後に一人だけ、無垢な人間を生かして。

だが、それでも生きたい。
どんな蔑まれた境遇にいても、生きて家族に会いたい。
作戦に成功しながら、自分を憐れむ。
そういう笑みに見えた
(というか、ゆっくり考えてそんな笑みなのではないかと思った)。

そして、この力のない笑みは、
ずっと自分の信条を曲げずに理屈で生きてきた「宮部久三」という男の
死の直前での、誰に充てるでもなく出た、唯一の感情吐露であったように見えた。
だから、泣けた。


徐々に岡田准一に似てくる孫の三浦春馬も頑張った。


さて、みんな誉めてるけど、サザンの曲は薄っぺらくて嫌い。
メロディーの感じが他のサザンの曲とあまり変わらないので(『TSUNAMI』に似てる)、
「ナンパしてキスして愛してる」みたいな曲っぽく耳が錯覚してしまう。


【銭】
バルト9の平日昼マチネー割引で1200円。

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PS 演歌歌手のジェロが最初っから最後まで
 永遠のように歌い続ける映画じゃないのか!


fjk78dead at 17:24|個別記事コメ(22)トラバ(30)

2012年07月07日

『外事警察 その男に騙されるな』を109シネマズ木場4で観て、みん一択ふじき★★★

五つ星評価で【★★★飽きさせない、そして役者の凄み】


お話的には予想の範囲内だった
(つまらんという意味ではないし、よく練れてる)。
ちなみにTVドラマ未視聴です。


だが、役者がいい。
韓国人は韓国人っぽいし。

余さんはいつも通り、余さんが出て来ると、
あまりに本物っぽくて誰だか分からないし。

渡辺篤郎は今までの役者人生でベスト配役
(って勝手に人の人生決めちゃうのも何なんですが)。怪しくっていい。
なんか父ちゃんのせいで有耶無耶にされてるけど
「怪しい」が「激似合い」だと思うのよ、篤郎は。
あまり私生活で子供や動物に優しそうに見えないじゃない
(無表情で子供にビンタとかしてても
 違和感ないイメージの役者って、ある意味、凄いな)。

そして田中泯。
すげええええええ。
田中泯の出演で映画のランクが一つあがってるよ。
元々どんな映画に出ても、
田中泯だけは特別枠みたいな空気が違って凄いんだけど。



【銭】
6回分のポイントを使って無料入場。

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PS いやあ、カイジ警察って言うから全員、藤原竜也なのかと思ったよ。
PS2 「外事警察 その男に騙されるな」の姉妹篇で
 「愛人警察 その女に騙されるな」できないかな?
PS3 そうそう、真木よう子もいい演技してた。
 母ちゃん役だったから『SP』みたいに胸強調じゃなかったのが残念だったけど。


fjk78dead at 10:58|個別記事コメ(4)トラバ(6)