徘徊ママリン87歳の夏

2016年08月25日

『ヤクザと憲法』『徘徊ママリン87歳の夏』『ビハインド・ザ・コーヴ』『道頓堀よ、泣かせてくれ!』『尾崎支配人が泣いた夜』『存在する理由』6本まとめてレビュー

未レビュー邦画ドキュメンタリーをできるだけ短評で。

◆『ヤクザと憲法』キネカ大森3
五つ星評価で【★★★★すげー前に見たな】
ヤクザってどんな生活してるの?
関心に従って門を叩いてしまうのが凄い東海テレビのドキュメンタリー。
いかつい虎の剥製や事務所の防衛鉄板など物見遊山としてだけでも面白い。
主体をヤクザに移すと、グレーな部分(反社会的な部分)がグレーなまま映されても
ヤクザ側に感情がシフトする。そういう感覚が自分に起こるのがおもろい。
そら、ヤーさんに町で出会ったら警戒してしまうのは変わらんけど。
ヤクザの弁護など手を出さなければこんな目に合わないのに
弁護を依頼されて断れない山口組の顧問弁護士の人の良さそうな感じが泣けた。
「憲法の話なんかしてましたかいのう?」くらいにそこは小さい。
「ちんぽうの話なんかしてましたかいのう?」そこは小さい
ではないので、怒るなヤクザ!


◆『徘徊ママリン87歳の夏』K's CINEMA
五つ星評価で【★★ケース・バイ・ケースで、こういう事が出来る場合もあるだろう】
徘徊する認知症の母に合わせて会話する娘。
このやり取りに悲惨さがなく、おもろいのが見もの。
確かにこれは認知症患者とその肉親の上手くやれるモデルケースとしてとても良い。
なのだけど、誰もがこうやれる訳ではない(近づける事は可能)。
徘徊する肉親がいつ徘徊しても問題がないように、
保護する肉親がかなり自由でいなければならない。
実際なかなかこうはできないのではないか。

それで全てが解決する訳ではないだろうが、GPSとかで所在確認ができるなら、
徘徊者の介護はもうちょっと楽になりそうな気がする(今やってるかどうかは知らん)。


◆『ビハインド・ザ・コーヴ』K's CINEMA
五つ星評価で【★★★★コーヴへの返答】
デタラメな映画なのにアカデミー・ドキュメンタリー賞を取って私個人の失笑を買った『ザ・コーヴ』に返答する映画。結局、問題の映画がデタラメである事は分かる人には分かるのだが、言われっぱなしだとそれが真実にされてしまうと言うのが、とっても出来の悪い今の社会システムなのだ。
だから、ちゃんと「デタラメはデタラメ」という映画ができてよかった。
おもろいのは活動団体シー・シェパードに関しても監督はフレンドリーに取材して、現場にいるシー・シェパードが鬼畜みたいな存在でない事もちゃんと映ってたりする(但し、町にとってはいろいろ迷惑な存在ではある)。極めて冷静にフェアに作られている。

但し、結局、何故、日本の捕鯨叩きが始まったかという部分に関しては、この映画で語られる事は眉唾ではないかという異論も出ている。それはそれで、誰かが検証して『ビハインド・「ビハインド・ザ・コーヴ」』という映画が出来ればいいと思う。

結論部分は差し置くとしても、結論が誤っているからと言って、それ以外の部分が誤っている訳でもないだろう。だから、これはこれで見ものとしてとても面白い。ちゃんと欧米人に見てもらいたいんだけど、その辺りはどうなんだろうか?


◆『道頓堀よ、泣かせてくれ!』トーホーシネマズ新宿1
五つ星評価で【★★★★一生懸命な人がんばれ NMB48のドキュメンタリー】
普通のドキュメンタリー映画を撮ってる監督に撮らせたNMB48のドキュメンタリー。どうなんだろう。監督の作品、観た事あるかと思ったら1本だけ観てた。『フタバから遠く離れて第二部』イカもの食いだねえ、ふじきさん。「フタバ」はちゃんとしたドキュメンタリーでした。で、NMB48の事なんて全く知らない。グループでそこそこ中のメンバーも含めて知ってるのってAKBくらいで、NMBもSKEもHKTもよう知らん。なので、こういう自分と同じ門外漢が撮ってくれた映画は自分が分からない物を納得した上で、外部出力しようという明確な意思があって、非常に見やすかった。
劇場で欠けたメンバーの代役を務める為にどのパートでもこなせるようになってしまった
選抜されない異能「劇場職人」沖田彩華のエピソードが泣かせる。基本、とてもベタに頑張ってる女子を応援したいのだ。そして、この沖田彩華のエピソードを見て、映画『バトル・ロワイアル』の前回優勝者を思いだしたりした。彼女は800人のオーディションから生徒役に選ばれたにもかかわらずケガで降板した。彼女は黙々と出てこれない生徒の代役吹替えをこなす。何人かこなした後にスタッフの気づかいで彼女は前回優勝者という役を貰う。うん、あの子(岩村愛(=岩村愛子))ちょっとしか出なかったけどよかった。


◆『尾崎支配人が泣いた夜』シネマロサ1
五つ星評価で【★★★さしこ監督の手腕、HKT48のドキュメンタリー】
NMB48のドキュメンリーと同時期に公開されたHKT48のドキュメンタリー。NMBがプロのドキュメンタリー監督が撮る事に対抗して、HKTは「さしこ」こと指原莉乃が監督する事を売りにした。
ふんだんにある映像素材から祖型は作ってあったのではないかと思う。それに味付けしたり、この事件このインタビューだけは欠かせないという最終調整を指原がしたのではないか。という事で、あんまりトンマとかマヌケな映画にはなっていず、ちゃんとお金を払っても勿体なくないような出来になってました。
一番注目させられた、頑張ってもなかなか報われない女の子というフォーマットは奇しくもNMBと同じなのだが、AKBの内包する一番の泣きどころはここにある訳だし、これは観客側も容易に自己同一化できる場面なのだから、あって不自然と言う事はない。ただ、こっちの方を後に見てしまったので、個人的には題材の新鮮さは薄れた。


◆『存在する理由 DOCUMENTARY OF AKB48』トーホーシネマズ六本木4
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▲記事の中に一つくらい画像貼っておくかな、と。じゃ、綺麗どころで。

五つ星評価で【★★★★痒い所に手が届く】
毎年、作られるAKBドキュメンタリーの新作。
今年は長年彼女らと行動を共にしてきた石原真を監督に据える。
去年から今年にかけてのトピックスを追いながら、
ちょっとずつ、そう言えばあれはどうなった、あの事も描きたい伝えておきたいという部分が多く、とても内容が豊富でありながら、なかなかまとまりのいい一本に仕上がった。

主なトピックス
・総監督が高橋みなみから横山由依へバトンタッチ
・選挙
・NGT48
・新勢力エイター
その他に伝えたいこと
・海外グループってどうなのか?
・元メンバーの現状(焼肉店オーナーと光宗薫)
・モ娘。、モモクロ、文春へのインタビュー

企画力が強いというか、いや、せっかく監督になったのだから、これも収めておきたい。聞いておきたい。語らせてあげたい。という近くにいた者ならではの親心が強く出ててよかった。

ジャカルタでトップアイドルになってる日本人と言うのにも目を見張ったが、
あの時も今も綺麗な光宗薫さんが笑顔で語ってくれたのは良かった。


【銭】
ヤクザと憲法:テアトル会員更新の招待券で無料鑑賞。
徘徊ママリン87歳の夏:正規入場料金1500円。
ビハインド・ザ・コーヴ:正規入場料金1800円。
道頓堀よ、泣かせてくれ!:額面1500円のムビチケをチケット屋で900円でGET。
尾崎支配人が泣いた夜:安いムビチケ見つからず、泣きながらロサのレイトで1300円。
存在する理由:額面1500円のムビチケをチケット屋で980円でGET。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
ヤクザと憲法@ぴあ映画生活
徘徊 ママリン87歳の夏@ぴあ映画生活
ビハインド・ザ・コーヴ〜捕鯨問題の謎に迫る〜@ぴあ映画生活
道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48@ぴあ映画生活
尾崎支配人が泣いた夜 DOCUMENTARY of HKT48@ぴあ映画生活
存在する理由 DOCUMENTARY of AKB48@ぴあ映画生活
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