トム・ハンクス

2016年01月17日

『ブリッジ・オブ・スパイ』をトーホーシネマズ渋谷6(B1F)で観て、ジェフ・ブリッジやないんかいふじき★★★

五つ星評価で【★★★主演はトム・ハンクスだけど誰でもええわ】

脚本がしっかりできてて、演出がちゃんと脚本のまんまやってるから、よっぽど変な人を据えない限り、主役は年輪を感じさせる人なら誰でも大丈夫。例えば、間寛平が主役で裁判所や東ドイツで「かいーの」を連発したら映画は壊滅してしまうだろうが、ごくごく普通に日本の映画宣伝部がやるみたいに「橋」で引っ掛けて、ジェフ・ブリッジスが主演でも映画その物は大丈夫。じゃ、何でトム・ハンクスなのかと言うと、抜群の興行成績、つまりトム・ハンクスがお客を持っているからだろう。一応、トム・ハンクスも間寛平みたいな時期(『ビッグ』)があったが、まあ、今、あそこに戻る気もあるまい。で、脚本のコーエン兄弟、監督のスピルバーグがビッグネームで、役者は世界的に有名なのはトム・ハンクス一人だけ。この「トム・ハンクス主演」というのが宣伝の根幹で、キャスティングで宣伝が全て終わっている、と言っていいだろう。

まあ、別にトム・ハンクスが悪い訳でもなく、トム・ハンクスは良かったよ。
あと、私自身は良く知らないけどロシアのスパイ、アベルを演じたマーク・ライランスももう一人の不屈の男(Standing Man)で、彼自身が何か行動を起こせる訳ではなく、全て受け身の体制なのであるが、信念を曲げない姿勢で言えば、私にはこちらの方が恰好良く映った。外見は目がウルウルしてる波平なんですけどね。

「Standing Man」=「不屈の男」って訳は決まりきった訳なんだろうか?
もう、これ以上ないドンピシャな訳なのだが。
トム・ハンクス演じるドノバンが不屈の男である事に異論はないが、周り全ての小人物が一人でも誤った行動を起こせば、成功はおぼつかなかったろうから、やはり幸運であったとは思う。そして、私がロシア人だったらドノバンのスキャンダルでっちあげ写真とかを撮らせて、最終的にドノバンが不屈であっても彼の権限を行使できなくなるそういう絵図を描くな。最低だな、俺。

ただ、これ映画の最初で「史実に基づいた」と訳されているけど、
「inspired true story(史実に触発された)」と英字幕が出るので、
本当はこんなスッキリした話ではなく、
もっとエゲツない裏取引とかあったのかもしれない。


【銭】
トーホーシネマズデーで1100円。

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PS 主演、橋幸夫でどうだ(いやダメだろう)
PS2 鰤が大好きな辻さんでも……

fjk78dead at 00:05|個別記事コメ(16)トラバ(20)

2014年04月10日

『ウォルト・ディズニーの約束』をUCT5で観て、物語を守ること壊すことふじき★★★(ネタバレ・・・かな)

五つ星評価で【★★★ディズニーとトラヴァースのどちらを支持するかで言えばトラヴァース】
『メリー・ポピンズ』原作は未読、映画は大昔見た筈だけど記憶が曖昧。

ディズニーのお約束と言えば、
ミッキーの耳が重なって一つにならないというのがあります。関係ないですね。

『メリー・ポピンズ』の作者トラヴァース女史とディズニーとの間の映画化を巡る血で血を争う熾烈な戦いの日々を描く。

どうも、けっこうみなさんディズニーに同情的なのであるが、
トラヴァース夫人に対しての方が私は同情する。
簡単に言うと、『アナと雪の女王』である。
原作を原案にしてしまう改変。あれは一番極端な例だと思うし、
ウォルト・ディズニー自身は関わっていないけど。
でも、ウォルト・ディズニーの精神は伝わってくるのではなかろうか?
ウォルト・ディズニーが原作付きの映画を作る時、
原作精神の再構築以上にディズニー作品への塗りつぶしを優先してる気がする。
一目見て、ディズニーと分かるパッケージング。
そして、原作の題名の知名度は上がるが、実物が手に取られなくなる。
ディズニーによってその物語が征服されるのだ。
それは抵抗して当然じゃないか。

という事で、エマ・トンプソンの涙の
「ペンギンの部分がひどすぎて」という照れ隠しセリフは、
大事な一線は守り通したという安堵とともに、
守り通せなかった些細な部分も山ほどある、という本音だろう。
ディズニーにもう少しデリカシーがあったら、
本当のペンギンを調教は出来ないにしても、
カトゥーン丸出しのアニメにはしなかっただろう。
資金面の問題か、技術面の問題か、それとも他に真意があるのかは分からないが、
もっと原作のテイストに合う映像化はやれば出来た筈だ。
ディズニーはそれをあえてしなかった。ディズニーテイストにして、
自社ブランドである事を誇示した、そうなんではないかと思っている。
だから、トラヴァース女史には同情する。
こんな話を又、商売にされちゃったりするし。
死ぬまで、いやいや死んでからもしゃぶられるのかヨ。

って意味でディズニーを「自己を押し付ける人」と考えると、
トム・ハンクスは適任。役に合わせるよりも、役を合わせる。
つまりトム・ハンクス本人がトム・ハンクスの個性をあまり減じないタイプだから。
とは言え、直前が『クラウド・アトラス』だったから、
何だかあの延長上に見えてしょうがなかった。
相手役がハル・ベリーだったらバリバリのスピンオフだと思っただろう。
ディズニーの父ちゃんの話がちょっと『ペコロスの母に会いに行く』を連想させた。
ええい、早く禿げてしまえ。

役者で言うと、運転手のポール・ジアモッティーが、
善人であるだろうけど、意外と内面が分からない感じでよかった。
彼の秘密が「自分が連続殺人鬼であること」とかじゃなくてよかった。


もう一人。
ミッキーマウスについて。
トラヴァース夫人が最初に着いたホテルで、
ディズニーからのありがた迷惑な歓迎のギフトを片づけて
最後に一体だけ片づけ損ねた縫いぐるみのミッキーに
「洗練さを学びなさい」と諭した場面は実によかった。

さて、洗練さとは何だろう。
スマートであること? 動きなどの所作が美しい事?
ネット辞書で引くと「優雅で品位の高いものにみがきあげること」。なるほど。
ディズニーの「ええがな、ええがな、みんな友達さけ仲良くやったらええがな」接待の正反対ということだ。多分、ディズニー社の一から十までが洗練ではない。
ミッキーもそういう世界でずっと暮らしてきたから洗練さを学ぶのは大変だったろう。
最終的にトラヴァース夫人は試写会場のチャイニーズシアターでミッキーと出会う。
ミッキーは実に洗練された仕草で彼女をエスコートするのである。
そして、何時までも洗練されない彼の生みの親のディズニーと、
その親から作られた洗練されてない映画『メリーポピンズ』に彼女は出会う。
なんて皮肉な。
洗練されていても、洗練されていなくても、そこに心が籠っていることが大事なことである。大事なことなのではあるが、その物語は彼女だけでなく、彼女の父親についても述べられる物語であるのだから、自分の姿形は道化のように描かれたとしても、父親については洗練された姿形で描写してもらいたかったのではないだろうか。そう思わなくもないのである。もっとも洗練から遠い人間に彼女がこの物語を渡してしまった時点でそれが適えられない事だったとしても。

最後に志村喬が出てきて「勝ったのは我々ではない。勝ったのはディズニー達だ」と言いそうなレビューになった。そうだな、菊千代的だな、ディズニーって。


【銭】
金曜UCT会員デーで1000円。

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PS 約束してディズニーに『メリー・ポピンズ』を作ってもらった娘が映画を観て、
 「これは全然『メリー・ポピンズ』じゃない」と怒るみたいなエピソードは
 ないんですかね?


fjk78dead at 18:05|個別記事コメ(21)トラバ(15)

2013年12月19日

『キャプテン・フィリップス』をトーホーシネマズ六本木アートスクリーンで観て、宣伝詐欺ねんぞふじき★★★

五つ星評価で【★★★普通の人ができることをアクション映画にうまくのせている】

トム・ハンクスが出る映画は感動の涙で圧倒されなければいけない、みたいな恥ずかしい宣伝をSONYが展開してるけど、そんな映画ではない。かといって、トム・ハンクスが実はジェイソン・ボーンなみの人間兵器だったとか、偶然乗船していたコックがケイシー・ライバック(沈黙の戦艦)だったとかでもなく、超人ヒーロー不在のアクション映画で、そういうのは類例が少ないので宣伝が難しい。

そもそも、フォーマットがないと宣伝が出来ないというのが問題なのだが、昔に比べると映画公開本数が2倍くらいになってる気もするので(単なる体感です)、そんな1本1本丁寧に宣伝やってられっかってのもあるかもしれない。
えーと、やれ。それが仕事なんだから。

でも『アメージング・スパイダーマン』のエンドロールに日本語主題歌をぶち込んだSONYに宣伝の期待なんかしちゃいけないのかもしれない。

チラシにでかい字で書かれている「勇気」と「愛」はあまりありません。
「知略」と「姑息」だったらあるか。
主人公をトム・ハンクスに据えた時点で、
自国自社の権利は守るが人間としては優しい、という路線は確約されたのだろう。
一応五分五分として捉えられているソマリア人サイド、
ソマリア人サイドに肩入れした映画が作られたら
実はもっとSONYが推したがってる「愛」の映画になったかもしれない。

トム・ハンクスをソマリア人リーダー「ムセ」に抜擢。、
彼にはソマリアに守るべき家族も、守るべき生活も、彼等なりの誇りもある。
彼は彼を見下した目で見るアメリカーナの視線に耐えながら、
そのアメリカーナの命を保護しつつ、祖国に帰ろうとする。
こっちの方が「愛」と「勇気」を絞り出せそうだぞ。
最後に現出する怒涛の悲劇も演出できるし。

ってことで、適度に面白いんだけど、騙された感があるからいい気はしない。
基本、戦闘が「逃げる」ことがベースなので、どうもスカっとしきれないし。
ジャスト90分尺くらいがいいなあ。
最終的にトム・ハンクスがヘロヘロの姿で終わるから、
「偉大な人物が不正な悪に対して自分たちの生活を守りきった」感が
持てずに終わっちゃうんだよね。

えーとね、
宣伝まったく見てないなら、ちょっといい映画だと思うよ。



【銭】
毎週火曜日はトーホーシネマズ、メンバーズデーで1300円。

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PS フィリップ王国の威信をかけて
 トム・ハンクスが全身タイツで戦うスーパーヒーロー映画じゃないのか!
PS2 映画の裏ではマーク・ウォルバーグが密輸してるって言うね。
PS3 続編を作ろう(実話だって)
PS4 続編はムセの脱獄シーンから
PS5 ミュージカル化しよう!
PS6 「これからはサバイバルだ」
 船に乗りこんできたのは鯖のコスプレをして威張っているムセ。
 「サバサバサバサバ鯖威張」を熱唱する。


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2012年03月18日

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』をユナイテッドシネマ豊洲12で観て、あれは本当にハッピーエンドなのかふじき★★★★(ネタバレ)

ネタバレするつもりなので注意。

五つ星評価で【★★★★少年の演技、サンドラの演技、マックス・フォン・シドーの存在感、そして、トム・ハンクスの誰でもよさそう感にぐっと引かれる】

基本、とてもいい話だと思います。

だが、私の性格は悪い。

みんな、優しいなあ。
世界が性善説に基づいていればいいと思うのは私だってそうだ。
そして、ひどい目に合った人たちが、
皆して同じようにひどい目に片棒担がされた少年に
優しく接するさまは、とても感動的だ。

だが、あのラストのブランコは何なのだろう。
少年がブランコに乗って娯楽するくらい、
立ち直ったと言いたかったのだろうか。

あれは呪いじゃないだろうか。
少年の父は空中に投げ出されて死んだ。
だから、本来、少年は大地を踏みしめる事のできない空中に
足を浮かばせられないのではないだろうか。
それは死の暗譜だからだ。

にも関わらず、少年はブランコに乗り、足を空中に投げ出す。
辛い事は徐々に小さくなり、忘れられていく。
彼の中で整理が付き、それは恐れるべき象徴ではなくなった。
(もちろん、これは私の勝手な推測であるのだが)
それは「呪い」というよりは「救い」だろう。
だが、この物語で、少年が事故に会った町の人々に優しくされるのは、
彼等がその事故を覚えているからなのである。

人々は事件や事故を忘れていく。
そもそも、この事件は何故、起きたのかすら分かっていない。
少年も街の人も事件を少しずつ忘れていくに違いない。
その事のみで生きている訳ではない。
みんな普通に生きなければならないのだ。

そして、みんなが忘れた頃に、きっと又、同じような事件が起きるに違いない。
原因も分からずにひどい目に合った人たちが、その事故を忘れようとも、
その事件を起こした者たちにとって、目標が達成されなければ、
事件は再度、行われるのが自然だから。

その時、第二の少年が、第二の町の人たちに優しくされる。
「業(カルマ)」、呪いだ。
それは「ものすごくうるさくて、ありえないほど(時期が)近い」
事なのかもしれない。



【銭】
ユナイテッドシネマ、金曜、メンバーズデーで1000円。

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ものすごくうるさくて、ありえないほど近い@ぴあ映画生活
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ものすごくうるさくて、ありえないほど近い@或る日の出来事
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い@LoveCINEMAS調布
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い@映画のブログ
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い@紅茶屋ロンド
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い@新映画鑑賞★日記

PS しかし、やっぱり「ブラック」と書いてあったら「ゴーグルブラック」とか
 「ブラック商会・変奇郎」を思い出すのが普通じゃないだろうか?
PS2 「間借り人」じゃなくって「間男」だったら、生々しい話になってたな。
PS3 トーマス少年に
 「OK大丈夫、問題ない。風が吹けば、その時、ドーンと行けばいいんだよ」と、
 『ハラがこれなんで』みたいに、ちょっと言って欲しかったです。

fjk78dead at 01:03|個別記事コメ(10)トラバ(14)