クレヨンしんちゃん

2017年04月20日

『クレヨンしんちゃん 襲来!!宇宙人シリリ』をUCT4で観て、どないなもんかふじき★★★

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▲エンタメしてるなあ。

五つ星評価で【★★★ええのんか?】
今回は野原一家+宇宙人でロード・ムービー。
そしてまたテーマは「子供とか大人なのかよ」とも思ってしまう。
そもそも「クレヨンしんちゃん」というマンガが
子供らしからぬ子供を題材にしているのだから、
「親子関係」や「大人と子供」についてが主題になるのは不自然ではない。
でも、それしか作っていけない訳ではない筈だし、
ここのところは作品傾向が偏ってはいないだろうか?
(偏った目で見るから、そう思うのか?)

しんちゃんのギャグも今回は抑えめだし、冒険に行く人選もちょっと変だ。
どう、変なのかと言うと、しんちゃんのギャグは
しんちゃんが変な子供である事とそれを取り巻く一般人とのギャップによって起こる。
一番分かりやすいギャップの相手はヒロシとミサエの父母である。
通常、日常的な大人の位置にいるヒロシとミサエが外見だけながら
子供化(非常識化)してしまった事により、ギャップ笑いの幅が小さくなった。
その上、この父母とはぐれ、しんのすけはシリリと二人旅をする事になる。
彼は宇宙人という常識外の存在であり、加えて子供である。
つまり、大変しんちゃんのボケが効きづらい相手なのだ。

実はしんちゃんのギャグは相手が子供であっても春日部防衛隊相手だとちゃんと効く。
それは春日部防衛隊の4人は子供であるが、
一部の大人の常識を誇大化させたキャラだからだ。

風間くんのエリート主義による建前礼賛、
ネネちゃんのストレスによる冷静で冷酷な部分、
ボーちゃんの揺るがない哲学者のような泰然とした部分、
まさおくんのともかく負け犬な部分。
彼等は子供だが、カリカチュアされた大人属性を持つので、
しんのすけの言動にはちゃんと揺さぶられる。

父母や擬似大人の春日部防衛隊と接合点を持たず、
自分より非常識な宇宙人と二人旅をする事は殊更、
しんちゃんのギャグを低下させる。
それゆえに、しんちゃんは単純な「いい奴」になってしまう。

犬のシロはあまり活躍しないから今回は留守番でもよかった。
ヒマはあの年にして、女王様気質を持ってたりするのが面白いのだが、
介護者(通常はミサエかシンノスケ)がいないと自由度が落ちてしまう。
という事で、残念ながらヒマの出番も少なかった。
みんな均等に薄く出てて、等しく出番が少ない感じ。

逆にシリリがしんちゃん以上に非常識な言動をしてくれれば良いのだが、
このシリリがとても常識的で、不合理な親の言い付けも必ず守るという
実に面白味のない奴で、ずっと見てるのがつらいくらい魅力が乏しい。

終盤、野原一家とシリリの父親の対決で、更なるピンチに追い込まれる部分や、
それを跳ね除けて反撃する部分はスラップスティックな面白さに満ちいていて良い。
ただ、しんちゃんの世界だから成立するが、普通だったら
反撃のきっかけ等、説得力は薄いだろう。

ロードムービーの形式で次から次へと話か展開するので、
飽きる事なく普通に見れるのだが、果たしてこれでいいのだろうか?
という疑問は最後まで払拭できなかった。
それはシリリの父親が父親であると言う一点でシリリを制圧している。
暴力を振るわないDV状態で、これが物語が終わっても解消されないのだ。
野原一家に対するひどい仕打ちは解消されるものの、
シリリに対するケアはなされないで話が終わってしまうのである。
シリリに対するケアはラストシーンで行われないではないが、
それは彼と彼の父親との関係に対して必ずしも救いを与えるものではない。
私はシリリ自身が父親になった時、
同じような関係を築いてしまうのではないかと邪推してしまう。
彼と彼の父親は、今回の衝突に関して乗り越えていないし、
子供のシリリが父親になった時点で、
その子供を力のない者(=導いてやらないといけない者)としてしまう可能性は高い。
ただ、それは地球での代理父、野原ヒロシがじっくり、
父親と息子の関係は力の強弱ではないのだと再教育しているに違いない、
と考え直す事も出来るのだが、それは映画で語られていないので不安になってしまう。

何となく、そこまで考えるのは考えすぎだろうとは思うんですけどね。


【銭】
ユナイテッドシネマの有料入場ポイント2ポイントを使って1800円から800円割引の1000円で鑑賞。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
映画クレヨンしんちゃん 襲来!! 宇宙人シリリ@ぴあ映画生活

fjk78dead at 00:05|個別記事コメ(2)トラバ(1)

2015年04月25日

『クレヨンしんちゃん オラの引越し物語』を109シネマズ木場5で観て、殿様相撲ふじき★★★★

五つ星評価で【★★★★星一つはギリオマケ。泣かせは強くないけど、充分娯楽だ】  

今回のしんちゃんは春日部を離れ、転勤でメキシコにという思い切った展開。
そこで繰り広げられる殺人サボテンとの死闘。

フォーマットが無茶苦茶ホラーに忠実。
いやあ、分かってる。
そのホラーテイストの中でもバシバシ入ってくるしんのすけのおバカギャグ。
劇場いっぱいのお子さんと一緒に見てください。
面白い映画を年齢関係なく一緒に見れるのは幸せだよね。
子供はリアクションいいからノリよく楽しめるぞ。

サイドストーリーで入るシロやしんちゃんの友情エピソードも又、
短い時間によく入れたとばかりな入れ漏れがない感じ。

サボテン(ゾンビ)から逃げるのはしんちゃん一家と、
町の発展しか目がない町長(『ジョーズ』の町長みたいなの)、
グラマーラテン系美女、戦力にならないマリアッチ、
ITに詳しい理系少女、臆病者の怪力男。揃ってる揃ってる。
ホラー物で乳児(ひまわり)を出したのは画期的かもしれない。
もっとも守るべき存在だが、ゾンビを引き付けてしまう厄介者でもある。

ラテン系美女カロリーナは坂本真綾。すごいボン・キュッ・バーン。
しんちゃんの世界で痩身のすらっとした巨乳でデザインいいのが凄いなあ。

スマホちゃんは指原莉乃。普通にプロだと思って見てたので上手かった。

あと、日本エレキテル連合がセルフな役で出てた。
彼女たちはこの辺がキャリアのてっぺんじゃないかと思う。


【銭】
毎月19日は109シネマの会員サービスデーで1100円。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
映画クレヨンしんちゃん オラの引越し物語〜サボテン大襲撃〜@ぴあ映画生活


fjk78dead at 00:05|個別記事コメ(2)トラバ(3)

2014年04月20日

『クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』をキネカ大森2で観て、しんちゃん面白えーふじき★★★★

五つ星評価で【★★★★ギャグに織り交ぜる哀しいオヤジ復権の調べ】  
ひろしがマッサージに行ったらロボとーちゃんになって帰ってきた。
野原一家は父親革命に巻き込まれていく。

という事で、今回は泣かせ系です。
ロボになった父ちゃんが
・・・マジに新生『ロボコップ』以上に家族での位置を模索します。
父とは何か、父であるためにどうあらねばいけないか、父なる証明です。
ギャグの散りばめもバランスよく、
設定の適当さも心地よい(敵のバックボーンがあるようでないもの)。

ツイッターで誰かが、しんちゃんが狂言回しで、
ヒロシの映画になってると鋭い事を言ってましたが、その通りだ。
まあ、22本も作ってるんだから、こういうのもいいでしょ。
映画館を出る時に、親子で「パパも大変なの?」
みたいな会話を是非してもらいたいもんだ。

しかし、前作は春日部防衛隊主体だったから、
しんちゃんが話・ギャグとも、トップを張ったけど、
家族中心の話になると、どうしても
しんちゃんはそれなりにおとなし目になってしまうな。

お話そのものは謎あり、山場あり、バトルあり、で盛り沢山。
くどくてちょっと長いくらいに感じた。
でもね、見終わった後の周りのお子さんの目がキラキラしてて
「面白かった」「面白かった」と評判はよさげでした。若いもんにゃ勝てん。
にしても、日本のロボットと言ったら(コロッケの)五木ひろし
・・・なんて絶対に子供分からないだろ。まあ、効果が面白いからいいけど。

ゲスト声優のコロッケは脇役クラスなら十分プロでも通じる技量。
でも、声が変わりすぎてて、タレントゲストとしての起用意図が希薄になる
という皮肉な結果になった。
いや、これで生きていくのなら別に構わないけど。
もう一人のゲスト声優、武井咲の段々原照代は
『戦力外捜査官』から、アニメの方にすり寄ってきたのか、
あっけからんとした抑揚のないキャラで、とても聞き心地がよかった
(上手いという意味ではない)。これはこれでありだろう。
あ、『戦力外捜査官』は見てません。

OP・EDとも歌ってる「きゃりーぱみゅぱみゅ」を本人役で
ゲスト声優出演させればいいのに。何かまずい事でもあるのかな?


【銭】
テアトル会員割引で1300円。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん@ぴあ映画生活


fjk78dead at 10:02|個別記事コメ(6)トラバ(9)

2012年05月05日

『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶオラと宇宙のプリンセス』をキネカ大森3で観て、秘かにカルトかもふじき★★★

五つ星評価で【★★★20年来、一番の怪作かもしれない】

しんちゃんが一本の映画を通して反省するというシチュエーションは
第四作『クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険』でなされてる。

基本、次の日には全てを忘れる幼児を啓蒙するのはちょっと違和感あるなあ、
だけど、まあ、成立はしてる、と確か当時思った。

で、今回も、啓蒙は啓蒙で違和感あるのだが、
そんな視点が吹っ飛んでしまうほど、
敵対するキャラクターが何か秘かに怖かった。

今回、しんちゃんが不用意に書いた「宇宙契約書」への署名によって
ひまわりが取り上げられ、返してもらえないという事態になるのだが、
取り上げる「ひまわり星人」が何かドラッグを決めてるみたいな感じで
(いや、ドラッグを決めた事ないよ)挙動がおかしく思えてしまう。
いや、ドラッグを決めてるのは「ひまわり星人」ではなく、
彼らに相対する観客なのだ。
「ひまわり星人」は時に優しく、時に厳しく、時にスルーする、
・・・日常的に接触する他人のようでいながら、心を感じられない。
その心を感じない彼らがしんちゃんに行う攻撃が精神攻撃みたいなのである。
なんだか精神病になったしんちゃんの心のケアを内面描写で観ているみたいだ。

彼等がしんちゃんに接する際の匙加減がよく分からない。

「幼児」としてではなく、一個体に対しての、断固とした態度を取る。
それはしんちゃんがいずれぶつかってしまう「社会」のようだ。

特に、今回の敵のラスボス「ゴロネスキー」は全く性格が分からない。
鉄面皮という訳でなく、表現が過剰だが、その過剰さが喜怒哀楽と一致していない。
見ている側の気持ちを非常に不安定にさせるキャラである。

すったもんだの挙句、大団欒、ハッピーエンドを迎えるのだが、
観客は何故、ハッピーエンドに至ったのかが全く理解できない。
一応「のはら家が頑張ったから」的な結果にはしているが、
頑張った結果、ダメである事がかなりの頻度ある事も大人は知っている。
だから、取って付けたようなハッピーエンドは非常に違和感がある。
奇跡か起きたのかもしれない。だが、奇跡が安直に起きるなら、それは明日にでも引っ繰り返されるかもしれないではないか。そんな風に思える。辻褄が合うように正方修正されているが、まるで、この映画その物がしんちゃんの内面治療が失敗した事を気づかせないように巧みに突いた嘘のようにすら見える。

という風に考えすぎなければホラーには見えないけど、
その実、大きな恐怖の風船を破裂寸前まで膨らまして針を刺さないでいるだけみたいだ。

あああああああああ

ボクが狂ってるのかしら。



【銭】
テアトル系劇場新会員制で会員は金曜1000円で入場可能。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス@ぴあ映画生活

PS OP,EDが「渡り廊下走り隊」。
 曲はまあいいんだけど、しんちゃん映画ならではのアイドルいじりが欲しかった。


fjk78dead at 07:16|個別記事コメ(2)トラバ(1)