『スプリット』をユナイテッドシネマ豊洲9で、『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』をHTC有楽町1で観て、どっちも変な英雄譚やねふじき★★★,★★★『BLAME!』をシネ・リーブル池袋1で観て、濃厚なSFの香りが嬉しいぞふじき★★★

2017年06月05日

『メッセージ』『花戦さ』をユナイテッドシネマ豊洲4,9で観て、両方コミュニケーションが大事だふじき★★★★,★★★

金曜日と土曜日に見た2本をまとめてレビュー

◆『メッセージ』
171303_4
▲白鶴「まる」にシン・ゴジラ第四形態が乗り移ったみたいな宇宙人のメッセージ。

五つ星評価で【★★★★宇宙人のメンタリティーにビックリ】
正体不明の宇宙人が「バカうけ」と言おうか、
黒い米粒と言おうか、スイカの種と言おうか、
『ゴジラ・ミレニアム』のオルガの乗ってきた宇宙船と言おうか、
まあともかく種っぽいのが12個12カ所地球に飛来してきて
人類とコミュニケーションを取ろうとする。

この宇宙人のコミュニケーション言語(音声と文字(但し、非相関))と
メンタリティーが独特で他にないのがちょっと興奮を誘った。
正確にはメンタリティ(心の持ち方)だけかな。
ちょっと独特すぎて想像しか許されない。きっとこうじゃないかなあ程度。
彼等に比べれば『2001年宇宙の旅』に出てきた謎の存在モノリスの方が
まだ人間的な思考に寄り添った存在に思える。この状態はとても面白い。
それはSFだから。
SFでまだ見ぬ謎や新たな概念を目にする事の何と減ってしまった事か。
久しぶりに見た事もない「珍奇」を味わった。星四つはそれに対してである。
しかしまあ、全てを知っている存在とはどんななんだろう。
少なくとも博打は楽しめない。出来事に対しての驚きがない。
彼等のようになる事が幸せとは思えないが、それを受け入れさせられてしまうのは
外見と内面の差はあるが『第九地区』を思いだしたりもする。

円状の言語は面白いが、紙の文化が前提にあるようにも特に思えなかったので、
あの言語は球状に展開するのでも構わなかった。
まあ、それは2Dで見せる映画には向かないからしなかったのだろうが。
映画で見せるのに向かなくて構わないというのなら、
言語自体が視覚・聴覚を基本とせず、嗅覚や味覚、触覚をベースにした物だってありえなくはない。嗅覚や味覚は自分達で容易に再現できないのでとても言語には向かない気がするが、仮に一定空間に特殊な粒子を噴出する事でそれらを自由に表現できるなら、言語化が不可能な理由はない。
触覚だって背中に文字を書くのを複雑にし、二次元バーコードみたいなスタンプを互いに押し当てあって話すとかだってできそうだ(タイトルは「メッセージ」ではなく本当は「マッサージ」なのだ(笑))。
こういう与太話を考えるのがSFの楽しみである。

PS 松本零士の『ミライザー・バン』はこのメンタリティーに似てるかもしれない。


◆『花戦さ』
170180_1
▲月代の採光と顔の影が統一されている点に注目。

五つ星評価で【★★★萬斎さんの演技が嫌いという事に気が付く】
今回、映画を見て分かったのが、私、萬斎さんの何時も同じで(除く『シン・ゴジラ』)、大小しか違いのない演技がどうも嫌いなのだ。
これは、竹中直人や染谷将太みたいに目に見えてリアリティのない独特な同じ演技をする役者がどうにも好きになれない。そのようだ。邪魔に感じてしまう。
なので、この映画の主役・専好の人の顔は覚えられないが芸術的才能だけは秀でている異能の男というキャラクターには惹かれる。だが、それを演じた野村萬斎の演技は嫌い。
華道サイドでは専好の非政治家的側面を埋める実務家的な相棒・専武(和田正人)と、彼の先輩らしい専伯(山内圭哉)この二人くらいしか出てこない。専伯(山内圭哉)なんかは出番も少ないのだけど、あの「いやですよお〜」が抜群に良い。坊さんはもちっと多くて良さそうなのにこの二人しかいない。
「猿」が嫌いな豊臣秀吉の市川猿之助なんて皮肉で面白い。
佐々木蔵之介の前田利家は妙に魅力がなく、
吉田栄作の石田三成は田舎のおべっか役人みたいにイヤな八を好演。
千利休の佐藤浩市はちゃんとやってるけど、この人容貌が肉喰いそうな感じで獣っぽくて枯れていない。お茶より侍っぽい。
映画は専好と利休と秀吉の命を賭けた三角関係みたいでもある。
そして、戦国時代の娘としてのリアリティが全くないのに、とってもかーいー森川葵はともかく目を引くカワイコちゃんである。

あと、花の映画だから当たり前だが、花が綺麗だった。
エンドロール見ると、ゴッソリ、ゾロっと華道の人々の名前、御苦労様です。
エンドロール最後に「完」が出て終わるのも気持ちいい。
マーヴェルだったら、スピンオフで石田三成が出る『関ケ原』とリンクさせる所だが、会社も違うからそういうのはなかった。なくてよかった。

そう言えば花の寺に出入りする近所の娘として『湯を沸かすほどの熱い愛』の伊藤蒼(次女)が出てた。

登場人物が花に囲まれているビジュアルのチラシ(↑)、チョンマゲの月代が皆、右上が光り、顔の陰影は左下に影が出来ている。生け花のようにかなりちゃんと計算されて写真が配置されているように見える。


【銭】
『メッセージ』:ユナイテッドシネマ会員感謝デー(毎週金曜)で会員1000円。
『花戦さ』:年会費更新時に発行された特典「映画1本を1000円で見れる券」を使って1000円で鑑賞。
▼作品詳細などはこちらでいいかな
メッセージ@ぴあ映画生活
花戦さ@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です。
メッセージ@映画のブログ
メッセージ@ここなつ映画レビュー
メッセージ@yukarinの映画鑑賞ぷらす日記
メッセージ@ノルウェー暮らし・イン・原宿
メッセージ@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
花戦さ@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評

この記事へのトラックバック

19. 映画「花戦さ」感想  [ 帰ってきた二次元に愛をこめて☆ ]   2017年06月30日 21:30
花の作り上げる空間の美しさ、広がる世界はまさに宇宙、すべてを包み込む。それは人をも包み込むもの。専好は花で、利休は茶でなしとげた境地。 「お・も・て・な・し」の大騒ぎも一段落した感のある日本ですが、そんな時だからこそ見て欲しい映画かも。秀吉の金ぴか
18. 『メッセージ』  [ beatitude ]   2017年06月14日 22:01
言語学者のルイーズ・バンクス(エイミー・アダムス)は湖畔の家に独りで住み、今はいない娘ハンナとの何気ない日常を時おり思い出す。ある日、地球各地に大きな宇宙船のような物体が出現する。ルイーズは、宇宙船から発せられる音や波動から彼らの言語を解明し、何らかの手段
17. メッセージ  [ ★yukarinの映画鑑賞ぷらす日記★ ]   2017年06月14日 12:53
【ARRIVAL】 2017/05/19公開 アメリカ 116分監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ出演:エイミー・アダムス、ジェレミー・レナー、フォレスト・ウィテカー、マイケル・スタールバーグ ある日突然、巨大飛行体が地球に。その目的は不明―― 言語学者ルイーズが解読した、人類へのラス
16. 『花戦さ』('17初鑑賞59・劇場)  [ みはいる・BのB ]   2017年06月12日 14:37
☆☆☆−− (10段階評価で 6) 6月3日(土) 109シネマズHAT神戸 シアター7にて 15:55の回を鑑賞。
15. 花戦さ  [ だらだら無気力ブログ! ]   2017年06月11日 21:39
ちょっと個人的にはイマイチだったかなぁ。
14. メッセージ  [ だらだら無気力ブログ! ]   2017年06月11日 21:39
なんで未来が分るんだっけ?
13. 花戦さ ★★★★  [ パピとママ映画のblog ]   2017年06月11日 21:27
戦国時代末期に活躍した実在の花僧・池坊専好を主人公に、千利休との友情と、亡き友の無念を晴らすべく時の権力者・豊臣秀吉に花で立ち向かっていく姿を描いた鬼塚忠の時代小説『花いくさ』を「陰陽師」「のぼうの城」の野村萬斎主演で映画化。共演は市川猿之助、佐藤浩市、
12. メッセージ ★★★★  [ パピとママ映画のblog ]   2017年06月11日 21:27
テッド・チャンの短編小説「あなたの人生の物語」を基にしたSFドラマ。球体型宇宙船で地球に飛来した知的生命体との対話に挑む、女性言語学者の姿を見つめる。メガホンを取るのは、『ボーダーライン』などのドゥニ・ヴィルヌーヴ。『ザ・マスター』などのエイミー・アダム...
11. 花戦さ  監督/篠原 哲雄  [ 西京極 紫の館 ]   2017年06月11日 21:20
【出演】  野村 萬斎  佐藤 浩市  市川 猿之助  森川 葵 【ストーリー】 戦国時代の京都。花を生けることで世の平穏を祈る「池坊」と呼ばれる僧侶の中でも、専好は名手とうたわれていた。そのころ、織田信長亡きあと天下を手中に収めた豊臣秀吉の圧政が人々を苦しめ...
10. 「メッセージ」  [ お楽しみはココからだ〜 映画をもっと楽しむ方法 ]   2017年06月11日 13:08
2016年・アメリカ 配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 原題:Arrival 監督:ドゥニ・ビルヌーブ原作:テッド・チャン脚本:エリック・ハイセラー製作:ショーン・レビ、ダン・レビン、アー
9. メッセージ  [ Akira's VOICE ]   2017年06月11日 10:10
ドラマチックに満ちた映画体験に涙がこぼれた。  
8. 生け花すげーわ。(そこ?)〜「花戦さ」〜  [ ペバーミントの魔術師 ]   2017年06月07日 17:46
野村萬斎が亡くなった人に花を手向けて手を合わせるシーンが何度もでてくるのだが坊主頭の「陰陽師」かとおもた。(爆)あの呪文で、秀吉を退治するのかとおもった。(違)顔が覚 ...
7. 17-158「メッセージ」(アメリカ)  [ CINECHANが観た映画について ]   2017年06月06日 01:30
未来が判っても、選択は変えない?  ある日、宇宙から飛来した巨大な楕円形の飛行体が地球の12ヵ所に突如姿を現わし、そのまま上空に静止し続ける。その目的が判然とせず、世界中に動揺と不安が広がる。  やがて、最愛の娘ハンナを亡くした孤独な言語学者ルイーズ・バン...
6. メッセージ(2016)  [ 映画的・絵画的・音楽的 ]   2017年06月05日 22:41
 『メッセージ』(2016年)を渋谷Humaxシネマで見ました。 (1)アカデミー賞のいろいろな部門でノミネートされた作品(注1)なので、映画館に行ってきました。  本作(注2)の冒頭は、湖の畔に建てられている本作の主人公・ルイーズ・バンクス(エイミー・アダムス)の...
5. 「メッセージ」第29回東京国際映画祭  [ ここなつ映画レビュー ]   2017年06月05日 12:36
特別招待作品。アメリカ映画。監督はこれまでにも私が個人的にイチ押ししているドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。実は、今年の東京国際映画祭は、チケット発売日にチケットが買えないという前代未聞の不手際があり、それはもう上を下への大混乱であった。体験した人は一様に思いを
4. 花戦さ  [ 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評 ]   2017年06月05日 10:26
映画「花戦さ」オフィシャルブック [単行本]戦国時代末期。京都の中心、頂法寺六角堂の花僧・池坊専好は、天下統一目前の織田信長の前で見事な生け花を披露し、茶人の千利休らの心 ...
3. 「メッセージ」☆これこれしかじか  [ ノルウェー暮らし・イン・原宿 ]   2017年06月05日 08:59
評判も高く映像も美しい、思わせぶりな映像の連続と謎の宇宙人との緊迫したやりとりに目が釘付け。 重厚そうに見えて実は判りやすい「メッセージ」は良いとして、ラストの着地点を「これこれしかじか」的に終わらせるのって、どうなの??
2. 『メッセージ』 映画が避けてきたもの  [ 映画のブログ ]   2017年06月05日 07:31
 【ネタバレ注意】  『メッセージ』には脱帽だ。前回の記事で、私はSF映画の物足りなさを吐露したばかりだ。ところがこの映画は、まさに私が望んでいたものを見せてくれた。  前回の記事「『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』 フォックスと取引し
1. 「メッセージ」  [ 或る日の出来事 ]   2017年06月05日 07:17
なかなか地味どしたなあ。

この記事へのコメント

1. Posted by ノルウェーまだ〜む   2017年06月05日 08:58
ふじきさん☆
マッサージ、新しいSFですね!
柿の種も入れてください。
2. Posted by ここなつ   2017年06月05日 12:40
こんにちは。
「メ」と「マ」が違うだけでこんなに違う意味なのに、ヘブタポッドのコミュニケーションの説明としては大差ないのが素敵です。>メッセージ・マッサージ

宇宙人のメンタリティーに驚かれていらっしゃいますね。私達がよく新入社員などを「あいつ宇宙人みたいだ…」と評するのって、まだまだ甘いっていうことなのでしょうね。
3. Posted by クマネズミ   2017年06月05日 22:40
今晩は。
『メッセージ』について、「言語自体が視覚・聴覚を基本とせず、嗅覚や味覚、触覚をベースにした物だってありえなくはない」と述べておられます。その場合、ヘブタポッドが操る2種類の言語(音声と文字←聴覚と視覚)のうち、あるいは臭覚や触覚が音声に取って代わり、楔形文字を手で触れる場合のように触覚が視覚に置き換わるのかもしれない、などと思ったりしました。
4. Posted by ふじき78   2017年06月05日 23:24
こんちは、まだむさん。
肩を叩くとか、揉み解すとか、高級言語にはなりそうにないけど、、、、、あ、四十八手あるという体位の方が言語としてはありそうか。いかんいかん。そんな事ばっか考えてしまう。
5. Posted by ふじき78   2017年06月05日 23:31
こんちは、ここなつさん。
ヘプタポッドが富山に来たら岡田准一とメンマで会話したかもしれない。

ヘブタポッドが戦国時代に来たら、池坊専好と花で会話したかもしれない。

「あいつ宇宙人みたいだ」と言っても未来を知ってるとは思わんよなあ。
6. Posted by ふじき78   2017年06月05日 23:40
こんちは、クマネズミさん。
ヘブタポッドとのコマミュニケーション手段が何故、視覚(文字)なのかと言えば、人間が視覚で物を判断することが多い動物だからでしょう。人間に寄り添った結果、彼らも同様に視覚を重視した生物にしてしまた。例えば、彼らが蛸に近い海中生活者であったとして、生息区域が日光が届く浅瀬なら視覚は大事だけど、生息区域が日光が届かない深海なら、視覚よりもAとBの間にある「海」に対して、どう対流を生じさせ、相手に伝わるかみたいなコミュニケーションになったのではないでしょうか?
7. Posted by ボー   2017年06月06日 06:57
3 地球のタコと会話させたら、似たもの同士の強力な磁場が出現して、宇宙的に画期的な進展があったかもしれない。
8. Posted by ふじき78   2017年06月08日 00:10
こんちは、ボーさん。

たこ八朗「たこでしゅ」
ヘブタポッド「〇」
たこ八朗「たこでしゅ」
ヘブタポッド「◎」
たこ八朗「たこでしゅ」
ヘブタポッド「〇」

こんな?
9. Posted by yukarin   2017年06月14日 12:58
「メッセージ」は今までにないSFになってますが、今までのSF映画のいいとこ取りみたいな感じもしますね。←リスペクト言えよっ
言葉の違う人種がコミュニケーションをとろうとする所は人間同士でもなるほどと思うところがありました。
10. Posted by ふじき78   2017年06月14日 15:19
こんちは、yukarinさん。

> 言葉の違う人種がコミュニケーションをとろうとする所は人間同士でもなるほどと思うところがありました。

ドニー・イェンとマイク・タイソンが「イップ・マン 継承」でお互いを知る為に拳で会話しなくてはいけなかった、とか、そういう事ですね。

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
『スプリット』をユナイテッドシネマ豊洲9で、『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』をHTC有楽町1で観て、どっちも変な英雄譚やねふじき★★★,★★★『BLAME!』をシネ・リーブル池袋1で観て、濃厚なSFの香りが嬉しいぞふじき★★★