『旅役者』を神保町シアターで観て、成瀬は一矢報いたふじき★★★(ネタバレ)『アイヒマンを追え!』を新文芸坐で観て、その演出と言うかキャスティングはイヤふじき★★

2017年05月14日

『The NET 網に囚われた男』『殺されたミンジュ』をキネカ大森2で観て、ギドクらしいかいなあ?ふじき★★★,★★

キネカ大森の名画座企画「キム・キドク監督特集」

◆『The NET 網に囚われた男』
171549_1
▲森山未來っぽい。

五つ星評価で【★★★公安ってどこの国でもイヤな奴満載】
北朝鮮の漁師がエンジントラブルで韓国に流れつき、
韓国の公安にスパイ容疑で拷問される。
北に戻れば転向しただろうと又、拷問される。

韓国では調度の良いオフィス然とした取調室で質疑を受けるが
相手に答を聞く気はなく、決まった答にはめようとし、
その為にただ殴る蹴るの暴行を加える。
北朝鮮では、実にリアルでそっけないぶっきらぼうな地下室で質疑を受ける。
ここでも徹底的に殴られる。北も南もない。やってる事は全く一緒だ。
他人の人格を否定する。それは自分の利益の為。

利益誘導がシステム的に組み込まれているので分かりづらい韓国より、
こん棒を持った野蛮人が「おらが利益」を暗に要求してくる北朝鮮の方が
私的には怖いかな。

主人公の娘が可愛いらしい。奥さんもいい人だ。でも、みずぼらしい。やるせない。


◆『殺されたミンジュ』
168135_5
▲在りし日のミンジュ。

五つ星評価で【★★観念的すぎる】

冒頭、組織的に追い詰められて少女が殺される。
ミンジュはこの少女の事だろう。
映画内で「ミンジュ」という名前は出てこなかったように思う。
少女が殺された理由も最後まで明かされない。そこは大事ではないのだろう。
チラシに原題が書いてあった。『ONE ON ONE』、マンツーマン、一対一。
少女ミンジュを複数人で狩っていた者を今度は謎の集団が狩る。
数で優位に立っていた狩人を「一」に戻す行為がされる。
加害者が「一」に戻る事で、初めて被害者の「一」と向きなおれる。
内面的にはそうかもしれないが、映画は外面しか追わない。
なので単に、犯罪者集団が一人ずつ謎の集団の手にかかっている、
そういう映画でしかない。

そして一人一人退治しても行きつく先には果てがないようだった。
謎の集団のリーダーが納得するためには
ソウルの全ての人間を生贄に捧げなければならないかのようだった。

この映画にない「ミンジュ」の殺される理由、
彼女も又、何者かを複数人で取り囲み、加害したのかもしれない。
最初から最後まで真実が分からない中で、単に人が加害しあっている。
単純で奥深そうで変な映画。キム・ギドクの名前で許されてるように感じてしまう。

謎の集団のリーダーが藤木悠に似てるので、
何をやっているにせよ成功するようには見えない感が漂ってしまうのには困った。
藤木悠って大成功しない顔なのだ。


【銭】
2017年4月始まりで購入したキネカード(名画座回数券)。キャンペーン期間中につき半年間で3回入場券付で2000円。うち2回目を使用。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
The NET 網に囚われた男@ぴあ映画生活
殺されたミンジュ@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です。
The NET 網に囚われた男@ここなつ映画レビュー
殺されたミンジュ@ここなつ映画レビュー
殺されたミンジュ@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


トラックバックURL

この記事へのトラックバック

4. 殺されたミンジュ  [ 銀幕大帝α ]   2017年05月14日 20:16
ONE ON ONE 2014年 韓国 122分 サスペンス/ミステリー R18+ 劇場公開(2016/01/16) 監督: キム・ギドク 『メビウス』 製作総指揮: キム・ギドク 脚本: キム・ギドク 撮影: キム・ギドク 編集: キム・ギドク 出演: マ・ドンソク:謎の集団のリーダー キ...
3. 殺されたミンジュ  [ 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評 ]   2017年05月14日 14:54
殺されたミンジュ [Blu-ray] [Blu-ray]ある晩、女子高生ミンジュが複数の男たちに無残に殺される。この事件は新聞にも載らず、すぐに忘れられてしまう。それから1年後、ミンジュの死の ...
2. 「The NET 網に囚われた男」  [ ここなつ映画レビュー ]   2017年05月14日 10:14
様々なことを考えさせられる。豊かさとは何か。自由とは何か。北と南とそれぞれのたぎるような愛国心。だが、その愛国心は個人の置かれている環境や、大切にするべきものに対する思いからのみ派生するものなのではないか。北朝鮮国境付近に居を構える漁師のナム・チョル(リ
1. 「殺されたミンジュ」  [ ここなつ映画レビュー ]   2017年05月14日 10:13
難解だった。いや、大きなテーマとか、訴求点とかは解るんだけど、誰もハッピーにならない作品はキム・ギドクの十八番(おはこ)なのでそれはそれでいいんだけど、なんというか、もどかしいというか。私怨と大義のごった煮。為政者と虐げられる民、という構図よりも、私は強

この記事へのコメント

1. Posted by ここなつ   2017年05月14日 10:18
こんにちは。「網に〜」の方に。
この作品にはかなりピュアなものを感じました。北も南も本質的には変わらない、もっと言えば、疑心暗鬼になった人間の心は共通のものがあるということも感じました。
近年のキム・ギドク監督の作品は、メッセージ性が強いように思っておりましたが、その点で現状この作品が現状ピカイチかもしれません。
2. Posted by ここなつ   2017年05月14日 10:22
こんにちは。「殺されたミンジュ」の方へ。
>謎の集団のリーダーが藤木悠に似てるので
私は犯罪集団のリーダー的存在で七変化をやっていた彼が野口五郎に見えて、なかなか同情できなかったな。
3. Posted by ヒロ之   2017年05月14日 20:20
こんばんは!
TBありがとうございました。
基本的にはギドク監督の作風は好きなので楽しみにしているのですが、今回の「ミンジュ」は流石に私のバカ脳では「ちょっと何言っているのか分かんない」映画でした。
理解しようと頑張ったんですけどね、無理だお手上げだ状態であります。
4. Posted by ふじき78   2017年05月14日 22:22
こんちは、ここなつさん。
「網」はハッピーエンドはないだろうとは思ってたけど、もちっとゆるい閉じ方もあったんじゃないかな。良くも悪くもまとまった作品だと思います。

「ミンジュ」、野口五郎ですか。ゴロンボですか。もう、あまり覚えとらんな(七役さんが)
5. Posted by ふじき78   2017年05月14日 22:25
こんちは、ヒロ之さん。
ギドクさん、らしいと言えばらしい感じもしますが。凡人には分からんですね(私も凡人なんで、今回はどうにも)

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
『旅役者』を神保町シアターで観て、成瀬は一矢報いたふじき★★★(ネタバレ)『アイヒマンを追え!』を新文芸坐で観て、その演出と言うかキャスティングはイヤふじき★★