2017年05月04日

『そうして私たちはプールに金魚を、』をユーロスペース2で、『牝猫たち』『アンチポルノ』を丸の内TOEI△粘僂董珍品良品チンコ品ふじき★★★,★★★,★★

書いてるうちに関連性を見出せそうになった3本をまとめてレビュー。

◆『そうして私たちはプールに金魚を、』
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▲女子中学生4人。

五つ星評価で【★★★豪勢な25分】
サンダンス映画祭で短編部門グランプリをもぎ取った日本の短編映画。
ユーロスペースで凱旋再映とたまたま聞いて見たくなって見てきました。
こらえ性がないので尺が短い映画が基本、好きなのだ。
死ね、長い映画(おいおい)。

25分なのにカット数多くて密度が濃い。
冗談みたいだけど、大胆で、アピールばかり強くて、重みのない、
映画自身が主人公の女子中学生たちみたいだ。
飢えもなく、全てが手軽に与えられていて、それらを喪失しそうにもみえない、
怠惰で延々と続く頂点も最底辺もない煉獄の日常。
それは最底辺でない事を考えれば、全然、幸せな話なのだが、
生きていながら悟りきって死んでいるような生活は
本当に幸せという実感からは遠いのかもしれない。
人は脳で感じて生きる生き物だから。

映画では最終的に日常は壊れない。
最後にアイドル歌手がリストカットするとか、
通販で買ったマシンガンを持った引きこもりが彼等を銃殺するとか、
分かりやすいオチは用意されない。ただただ煉獄が続くのみ。
良くも悪くもマヌケなラストを迎え、劇的な事の発生を抑えている。
唯一違うのは映画観客が映画を見終わってその煉獄から解放される事か。

すげえスノッブな事をあえて言うならば
男子の観客はこの映画を見た後、
女子中学生を買えばこの映画はもっときっちり完結するし、
女子の観客はこの映画を見た後、女子中学生になりきって男子を買うか、
男子に買われればもっときっちりこの映画は完結する。
その先に何が待ち構えてるかはともかく、それで映画内外とも日常が断絶されるから。
でも、なかなか私も含めて皆さん、そういう訳にもいかないだろうから
二郎のラーメンを二杯食べたらとか、ビエネッタを一人で食べたらとか、
それぞれの代償行為を見つければいいんじゃないだろうか。

私? 私はそんなもん見つけないよ。別に煉獄の日常に強烈な不満はないもの。
映画の中の誰もがちゃぶ台返しをしない人達であるように。私もそういう煉獄的な日常を暗に望む側の人間なのだ。

そう言えば、先生役の山中崇と父親役の黒田大輔が日常その物みたいな生ぬるさでたたずんでいるのがいいなあ。この映画でラスボスがいるとしたらこの二人か、幻想で現れる大人になった4人の女子中学生だろう。

分かり切ったような事を書いてしまったので、ちゃんと言い訳もしておこう。私自身、女子中学生になった事も、金魚になった事もないから、正直この解釈でいいかは分からん。だから違うと思うなら鼻で笑え。耳で笑うとか難しいから目か口か鼻で笑えばいいと思う。

蛇足:この映画の正反対で日常生活に地獄しかない映画が園子温の『アンチポルノ』。そして、その『アンチポルノ』の地獄と『そうして私たちはプールに金魚を、』の煉獄の中間に位置している移動式の(煉獄+地獄)の雑居房みたいなのが白石和彌の『牝猫たち』。うわあ、似たような、似てないようなのを同じようなタイミングで見ちゃったなあ。どっちか一つというのでなく、日常的である事と劇的である事が折り重なっている構造の『牝猫たち』が一番見やすい。そらそうか。


◆『牝猫たち』
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▲主役の井端珠里(もちろん右)

五つ星評価で【★★★濃密な84分】
池袋を根城にする3人のデリヘル嬢が客を取る日常。
見慣れた池袋の街が温かくて可愛くちょっとスタイリッシュに撮られてる。
小汚い部分やカルトな部分やチンケな部分が見えないのが、PARCO全盛期の渋谷みたいである。デリヘル嬢の話だけど、デリヘル嬢が出向する場所がラブホじゃなく、みんな自宅だったりするので安っぽい絵にならない。安っぽい絵にならないと池袋っぽくないよなあ。お化粧した下町みたいだ。まあ、池袋の街おこし映画じゃないからこれでいいんだろうけど。
リアルな動物の猫は一匹も出てないが、それなのに『ねこあつめの家』より濃密に猫っぽさを感じる。隙を見せないくせに身体を摺り寄せてなついてくるからだろうか。『ねこあつめの家』は猫が家に寄ってはくるものの、家に来るのであって、主人と仲良くなる体がほぼほぼ取られていない。『牝猫たち』の彼女たちはなついてくる、隙を見せずに、値踏みをしながら。でも、そんな等身大でそこにいる彼女たちがとてもリアルで愛しい。
主役の井端珠里の付かず離れずの距離感が猫っぽいなあ。
あとデリヘル店長音尾琢真のヤの字スレスレのいるいる感がリアルに花を添えている。
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▲こんな感じのデリヘルの店長、本当にいそう。

◆『アンチポルノ』
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▲おっぱいの張りが若くていいんだわあ。

五つ星評価で【★★バリバリ園子温な78分】
裸は出てくるが、これはロマンポルノ・リブートプロジェクトの中の仇花。
ロマンポルノではなく、裸が満載の前衛映画だろう。
ロマンポルノ内でも「話が分からん」とオクラになった映画があるように、
これも有名監督が撮っていなければオクラになる一本。
ロマンポルノはAVと違って、話がちゃんとしている事が求められている。
基本、ある程度、バカだったり、爺だったりする客がメインだ。
あまりにも常軌を逸した展開には、客が付いてこれない。それではいかんね。
園子温にはオークラ映画で作った成人映画がある。
そっちの方がポルノ映画っぽい(と言いながら商売敵のピンク映画なのだけど)。

園子温はバリバリ園子温らしい物を作っているうちは
本人がどんなに怒って荒れたとしても「世間様」に認められないと思う。
これはだから世間様に対する彼の承認欲求を決して満たさない一本。

でも、同日に観た『牝猫たち』の女優のオッパイがみんな標準よりつつましやかなサイズだったので(年齢からか?)、命をかけるような勢いで主役を張った富手麻妙のポインちゃんオッパイにはちょっと救われた。
なんか本当オッパイとしていい感じのオッパイなんだよ。


【銭】
『そうして私たちはプールに金魚を、』:特別興行800円均一。
『牝猫たち』『アンチポルノ』:映画ファン感謝デー料金1100円。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
そうして私たちはプールに金魚を、@ぴあ映画生活
牝猫たち@ぴあ映画生活
ANTIPORNO@ぴあ映画生活
▼関連記事(他のロマンポルノ・リブートプロジェクト+α)。
風に濡れた女(一回目)@死屍累々映画日記
風に濡れた女(二回目)@死屍累々映画日記
ホワイトリリー@死屍累々映画日記
園子温の、ある秘かなる壷たち@死屍累々映画日記

PS ロマンポルノ・リブートプロジェクトとしては
 1に『牝猫たち』、2に『風に濡れた女』
 女優は1に『風に濡れた女』の中谷仁美、2に同作品の間宮夕貴、
 3に『牝猫たち』の井端珠里。
 『ジムノペディに乱れる』は未見。
 『ホワイトリリー』は昔のロマンポルノっぽすぎてイヤだが、
 『アンチポルノ』は昔のロマンポルノにもなってなくてイヤだ。

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