2016年10月08日

『真田十勇士』をユナイテッドシネマ豊洲6で観て、どう見ても「日本映画最後の超大作」ではないよふじき★★

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▲「日本映画最後の超大作」を任せるには堤幸彦は荷が重かった。

五つ星評価で【★★これ映画ではなく舞台ならよいのだけど、きっと】
同じ堤幸彦演出で舞台を同時公演しているらしい。
舞台は面白いかもしれないが、
その手法をそのまま映画に持ってきても映画としては「?」な状態になる。

人と合戦が描けてない。

十勇士は多い。個性のないのが雁首並べてても死に所くらいしか見せ場が出来ない。
死に至るまでの友情や信頼のドラマはそこそこ見せてくれるが、
そもそもの始まりである佐助の「おもしれえ」が全然こっちに伝わってこないのだ。

舞台の場合は「おもしれえ」というセリフを吐く奴がいれば、
実際の演者がそこにいるのだから「まあまあ、そう言う奴もいるかもしれない」と
リアルが納得を後押ししてくれるが、もう少し俯瞰の位置で観る映画では、
その男が何でそういう事を考えるのかが分からないとリアルな人間にならない。
その点、佐助は単に「おもしれえ」というだけの底の浅いキャラにしか見えない。
そんな浅くて薄い役にもかかわらず中村勘九郎は好演していた。それは認める。
これアドルフ・ヒットラーは実は腰抜けだった。
だが、彼を英雄に仕立てるゲッベルスがいた。彼の活躍を見よ、
という映画なのだが、ゲッベルスの行動原理が「面白いから」では映画として通らない。
やはり、「何故」彼がそれを面白いと思うかが描かれないといかん。

松坂桃李も行動原理が良く分からない。
別に中村勘九郎と一緒に行動する理由が見当たらない。
「ケンカするほど」という感じに仲が良さそうにも見えないし。
チラシに佐助と「熱い絆で結ばれている」と書かれている。そんなのは設定だ。
そういう設定をちゃんと映画の中で表現しないといかんだろう。

それを慕う大島優子は吹き矢だけ面白い。
キャラは重くてウザったくて、演技がちょっと違和感があった。
下手なのかどうか、よう分からん。
まあともかく痴話喧嘩は忍びの里で済ませておけよ、というくらいにしか思わん。

十勇士側で目に付いたキャラは剣豪・由利鎌之助役の加藤和樹と
もみあげ筧十蔵役の高橋光臣、オマケしてヘタレ侍根津甚八役の永山絢斗。
この辺はそれぞれのドラマがあるのでいても邪魔じゃない。
後はハッキリ言って有象無象。ガヤである。

真田幸村の加藤雅也、淀殿の大竹しのぶはキャリア通り、しっかりした演技を見せてくれた。徳川家康の松平健はキャリアにも関わらず何か立ったり座ったりしているだけだった。そもそも合戦の場になってしまったら、徳川家康って面白くは演じられなそうな役だけど。それでも津川雅彦とかだったら全然違うだろう。まあ、徳川家康というより津川雅彦になっちゃうんだろうけど。

で、合戦のシーンに理屈がない。
行き当たりばったりである。
「勝てそうにもない状況」に対して「どう勝てるに持って行くか」という戦略がない。
ともかくみんなで一生懸命やってれば勝てるんだよ。
そんなので「徳川軍二十万VS十勇士」が成立はしないだろう。
真田幸村が練る、猿飛佐助が練る、そんなのはどちらでも良いのだが、
徳川家康が大軍を率いても勝てないその理由をちゃんと練って見せてもらいたい。
スーパー忍者がいたから勝てましたではいかんのだ。敵にもスーパー忍者いるのだし。

合戦のシーンも多分、演劇ならこれでいいのだと思うのだが
(個々の戦いの外の全貌は観客が想像力で補完するので)、
映画では俯瞰で見せないといけないだろう。ごく普通に考えて。

なので、これは普通の映画ではなく、演劇公演の記録映像として作成されたら
こんなケチを付ける事もなく、まとまって面白かったんじゃないかと思う。

まあともかく結論としては
堤幸彦、おま、やっつけ仕事すなよ、かな。

あんな使われ方したユーミンのエンディングも悲惨。
ユーミンはあれ見て激怒していいと思う。


【銭】
ユナイテッドシネマの会員ポイント2回分を使って割引鑑賞。1000円。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
真田十勇士@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です。
真田十勇士@映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評

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この記事へのコメント

1. Posted by SGA屋伍一   2016年10月11日 21:42
ふじきさんなら「大島優子で『くの一忍法帖』みたいなエロ忍法が見たかった」と書くのかと思ってましたが
2. Posted by ふじき78   2016年10月11日 22:52
こんちは、伍一どん。
私、大島優子バリバリにタイプじゃないんです。
あっちゃんとか麻里子様だったら「くノ一」の奥義とか見てみたいっす。
3. Posted by ヒロ之   2017年03月20日 22:03
こんばんは。
バカやりたいのか真面目にやりたいのか中途半端。
こういう適当に場面を流されるとな〜んか内容に惹かれないし、眠たくなってきます。
4. Posted by ふじき78   2017年03月20日 23:06
こんちは、ヒロ之さん。
堤幸彦は決して下手なだけの演出家とは思わんのですが、自分のフィルモグラフィーに責任を持ってるように見えない。
「くだらない事をくだらないままに出す芸風」は悪いとは言わんのだが、そんなのは余技にすぎない。大相撲における「猫だまし」みたいなもんである。一つの試合に百回猫だましをしても、その試合には勝てない。

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