『ハイキュー!!"終わりと始まり"』をトーホーシネマズ新宿1で観て、おもろいやんふじき★★★★『コータローまかりとおる!』を神保町シアターで観て、こんな低俗な映画大好きだふじき★★★★

2015年07月18日

『ラブ&ピース』をトーホーシネマズ新宿12で観て、久々に園子温らしい映画だふじき★★★★(ネタバレあり)

五つ星評価で【★★★★延々とルサンチマンってのが園子温らしい】

情報量の多さが半端ない。
失った誇りを皮切りに何もかも捨て続ける自分のない男と
何も捨てない(変えない)女のラブストーリー。

長谷川博已は何もかも捨て続ける男。
野望はあるが、その野望には実がない。
野望の達成は彼のルサンチマンを満足させるだろうが、そこに幸せはない。
過去を捨て、誇りを捨て、生活を捨て、自分を捨て、恩を捨てる。
唯一のよりどころの亀を失って得た名曲が切り刻まれていく様はブラック。
映画内では歌の話だが、これが映画の話だったら園子温もまた、ずっと何かを捨て続けているのかもしれない。

麻生久美子は何も捨てない女。
映画の冒頭に現われてから、変節する素振りは一箇所あるが、最後まで何も変わらない。彼女が変わらないという事は、長谷川博已の封印したい過去をもちゃんと覚えている、という事でもある。彼女自身は変わらないので、その記憶を「悪」とは思わないが、過去の恥ずかしい自分の姿を関連付けられて見られる事が長谷川博已には耐えられない。

とりあえず亀はチンコの象徴なのかな(微妙に「愛」に近い位置にないとも言えないし)。まあ、チンコで具体的すぎるなら「テンガ」でもいい。怒張して愛の大きさを象徴しながら、大きくなればなるほど、それが白日の下に晒されれば晒されるほど、恥ずかしくてしょうがない。

長谷川博已は最後に現在と未来を捨てる。
彼には過去が戻ってくる。等身大になった彼のチンコ(亀)とともに。
そして、そこに麻生久美子が訪れる。
ピース(欠片)が全て埋まる予感で映画は終わる。
ラストは「捨てる長谷川博已」「捨てられる亀」「どちらも拾う(捨てない)麻生久美子」という幸せな構図なのかもしれない。

マリアには泣かされた。
電車の中で上から目線で長谷川博已を睨みつけるJKに真野ちゃん。ああ、睨みつけられてえ。


【銭】
14日はトーホーシネマズデーで1100円。

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▼この記事から次の記事に初期TBとコメントを付けさせて貰ってます。お世話様です。
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 『ラブ&ピース』をTOHOシネマズ渋谷で見ました。 (1)『新宿スワン』がとてもよかった園子温監督の作品ということで映画館に行ってきました。  本作(注1)の冒頭は、「朝まで生テレビ」の場面。“東京オリンピック2020”を議論していて、田原総一朗が「何を象徴するも.

この記事へのコメント

1. Posted by クマネズミ   2015年07月18日 05:42
お早うございます。
「何もかも捨て続ける自分のない男と何も捨てない(変えない)女のラブストーリー」とのお見立ては、さすがに「ふじき78」さんと思います。ただ、単に対偶をとっただけで同じことになるのでしょうが、逆に、新しいものをどんどん取り込んで膨らみ切って弾けてしまった男と、新しいものは何でも捨てていつまでたっても元のままの女のラブストーリーともいえないでしょうか?
2. Posted by にゃむばなな   2015年07月18日 10:14
この男と女の関係はなるほどと思いました。
確かに女は何も変わりませんでしたからね。
でもそれが女の強さでもあるのでしょう。
男は変わらなきゃ強くなれませんからね。
3. Posted by ノルウェーまだ〜む   2015年07月18日 22:21
ふじきさん☆
なるほどですね〜
何もかも捨て続け、踏みにじり、踏み台にしてきた男が、最後には何も変わらない女の元へ帰っていく。
初心を忘れずにとは、監督自身に向けたメッセージなのかも。
4. Posted by imapon   2015年07月18日 23:13
なるほどの分析で作品の理解が深まりますね。
勉強不足ですが園子温監督には興味があります。
久々に園子温らしい映画との事ですが、旧作でふじき78さんお勧めの園子温らしい映画を教えていただけますか。

5. Posted by ふじき78   2015年07月19日 08:18
こんちは、クマネズミさん。
野郎の方は新しいものをどんどん取り入れていきますが、別にそれってそんなに大事でないような気がします。元がポンコツなので新しい状態の方が成功しやすいですけど。
6. Posted by ふじき78   2015年07月19日 08:21
こんちは、にゃむばななさん。
一般的に女は家庭にどーんと構えて生活を変えないし、男は社会で働くにおいて、何かしら変わっていかなければならない側面は強いでしょうね。
7. Posted by ふじき78   2015年07月19日 08:23
こんちは、まだむさん。
男は基本マザコンなので、ああいう変わらない女が待っていてくれるという構図にはみんな弱い筈です。
8. Posted by ふじき78   2015年07月19日 08:27
こんちは、imaponさん。
好きな映画と言う事なら二傑で
『愛のむき出し』と『紀子の食卓』。
園監督ならではの変な事を考えるなあ、という奇想と、変な理屈を詰め込みよるのおという無骨に論理的なところが園子温っぽいです。
ともかく雇われ仕事からヤケクソまで幅広く映画を作りすぎてて「園子温っぽい」っていうのが語りづらいんですけど、基本この2本は根幹にあると思う。
9. Posted by ナドレック   2015年07月28日 18:11
誰もが亀の怪獣からガメラを連想する中、チンコを持ち出すとはさすが!

>ああ、睨みつけられてえ。

満員電車の中で真ん前に真野恵里菜ちゃんがいて、何もしないというのがおかしい。
10. Posted by ふじき78   2015年07月29日 23:37
こんちは、ナドレックさん。
いやあ、亀と言えば普通はチンコでしょ。
……「噛めと言えば普通はチンコでしょ。」と変換されて、ちょっと焦りました。

真野恵里菜ちゃんには何かしたいけど、それは法に触れるので禁止です。
11. Posted by SGA屋伍一   2015年09月23日 22:06
マリアちゃんにも泣かされたけど猫の人形の「スネ吉」だったか。あいつにも泣かされました。
「進行が非常に遅いのでみんな悠々と避難できる」というあたりが怪獣映画としてはすごく斬新だと思いました
12. Posted by ふじき78   2015年09月23日 23:54
こんちは、伍一どん。
ウサギの怪獣が一緒にでてこなくて良かったと思います。
13. Posted by ヒロ之   2015年11月29日 15:28
こんにちは。
クリスマスの日に家族団らんで観る映画、ではないか笑
しっかし終盤で程好い感動を味合わされるとは、前半見てた時はそうなるとは絶対に思わなかったです。
14. Posted by ふじき78   2015年11月29日 21:31
こんちは、ヒロ之さん。
家族団欒で見ると空気重そうっすね。

> 終盤で程好い感動を味合わされるとは

園マジックですね。なんか退屈な映画もあるのだけど一本丸丸どこからどこまでも退屈ってのはない気がします。短くてもどこかに魂が入ってる感じ。
15. Posted by    2016年03月09日 16:57
リョウは「全てを捨てる男」というのは、なるほどと思います。転身という意味では、キャリアを積み上げる営みには、過去を清算しないといけないでしょう。劣等生として駄目な過去があったからこそ、それを捨てる事が、彼の処世の基本となってしまった。

裕子は中立に徹せれるところは、なかなかない人だと思いました。だから、成功を掴んだリョウが、実際には、本来の自我を発散しているだけで、過去とは大きく違わない事、だから、本心からではなく冷たくされても、付いて行けたのではないか、と思います。

最後のライブで、ラブにカミングアウトされる事によって、駄目男の本音が晒され、崩れ落ちるように退散するリョウ、それにすら付いて行く裕子は、貴重ですね。
16. Posted by ふじき78   2016年03月09日 22:43
こんちは、隆さん。
捨てる男と、捨てられた亀が、捨てない女と出会い、二度と捨てられない天国を築くというフアンタジーなのかも。だから、裕子は鈴木と亀だけではなく、全ての捨てられた玩具達の憧れの地なのかもしれない。

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