『劇場版境界の彼方 未来篇』を新宿ピカデリー3で観て、ちょっと待て後編の為に前篇を作ってる訳じゃないのかふじき★★★『和食ドリーム』をテアトル新宿で観て、すずきらしいなふじき★★★

2015年05月05日

『イーダ』をギンレイホールで観て、飯田橋だからいいだを見るのだふじき★★(ネタバレあり)

五つ星評価で【★★宗教感覚が違うって事だろうけど、日本人だからそんなんは親身になって考えられへん】

うつらうつらした。
修道女のアンナは彼女が実はイーダという名前でユダヤ人である事を知らされる。

これは宗教的な物語なのだろう。だから、宗教が生活に根差していない日本では何かピンと来ない。彼女の父母はユダヤ人狩りで殺された事が分かる。幼い彼女はその幼さゆえ(また割礼などのユダヤ人の外的特徴がなかったため)命を救われ、教会に身を預けられていたのだ。宗教対立がそうさせた訳ではないが、彼女から父母を奪った人間は当然、キリスト教徒だったろう。つまり、彼女は新しい神の信徒によって自己を剥奪され、新しい神の信徒に新たに迎え入れられたのだ。

イーダという名前を剥奪され、アンナという名前を新たに付けられる。
ウィキペディアによれば、「イーダ」は「労働」を語源とし、「アンナ」は「恩恵」を語源とする。旧教の神の僕として働く信徒を新教が恩恵により信徒として迎え入れる、というのは皮肉に満ちた解釈か。また「アンナ」という名前は「聖母マリア」の母の名前でもある。実は「聖母マリア」の処女懐胎同様、「アンナ」も処女懐胎したという説があったが、これはカトリック教会により後に正式に否定された。映画のアンナは戒律を犯し、音楽家と一夜を共にする事で、彼女の人生のバックボーンから逃げようとした。彼女は映画のラストシーンで修道院に戻るのだが、それは彼女が「聖母マリアの母のアンナ」同様、処女懐胎し、それが教会によって否定されるという未来を暗喩しているのかもしれない。いや、多分、それは言葉遊びをやりすぎた上での考えすぎだ。


【銭】
ギンレイホール、会員証で入場。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
イーダ@ぴあ映画生活

PS イーダの女優さん、ちょっとケビン・ベーコンに顔が似てる。

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この記事へのコメント

1. Posted by sakurai   2015年05月06日 13:29
ケビンすか。
あたしは性格のいいキルスティンに見えた。
今頃、上映なんですが、なんでなんでしょ?
2. Posted by 隆   2015年05月06日 21:45
キリスト教も、弾圧をくぐり抜けた歴史があるのに、ユダヤ教を弾圧するのって仕方ないのでしょうか。教皇や司祭は分かっていても、現実に生活する民衆が望む宗教の在り方と、理想は異なるという事でしょうね。

名前の翻訳は面白いですね。言葉の起源には、両親が付けた名前であり、先人たちの作った言葉があると。また、如何に生活が現実味があったか、つまり、大変なものであり、その克服を名前に託したものでもあるのでしょう。そうした象徴的な名前には欧米のミドルネーム的な付け方があるでしょうが、個人名に付けるあたりは、古風ですね。
3. Posted by ふじき78   2015年05月06日 22:38
こんちは、sakuraiさん。
ケビンと思って見るとケビンに見えますよ。
「性格のいいキルステイン」ってオリジナルが性格悪いみたいじゃ……あわあわあわ。

時期については東京の私は名画座に回ってきたのですが、地方ではアカデミーの外国映画作品賞を確か撮ったので、その時にツバ付けて今くらいに公開と言うタイム・スケジュールか当たってるんじゃないですかね?
4. Posted by ふじき78   2015年05月06日 22:48
こんちは、隆さん。
キリスト教は表だってユダヤ教を攻撃したりはしてないと思うんですが、下々のキリスト教徒は宗教としてより人種としてユダヤ人を差別したでしょうね。生活の厳しい中、お金の取り立てをする金貸し業みたいなのをやってたから嫌われやすい素地があったのだと思います(キリスト教は戒律上貸し金業できなかった筈)。キリスト教のもっとも大きい弾圧は十字軍派遣ですが、このイスラムもキリスト教と従弟関係にあるみたいな宗教ですしねえ。

うちの記事での名前はあくまで遊びですけどね。本当はよく分からないです。日本だと言霊信教で付けられた名前の方が本質を凌駕するみたいな逆転現象があったりするから、もっと解釈を激しくできるかもしれません(にしても、うちで記事書くなら遊びですが)。
5. Posted by 隆   2015年05月06日 23:37
ふじき78さん

ユダヤ教徒は、金貸しから取り立て屋まで、一般人が嫌がる仕事をやっていたようです。行政の執行役も、上司は母国人、執行役はユダヤ人、という具合に。だから、嫌われていたのは、豊かだからとか、金銭競争を生んでいる、という意味で、保守層には根深いものがあったと思いますよ。

キリスト教は、十字軍といっても、イスラム教との戦争に激化させたのは、エルサレム王国軍ではなく、後続のヨーロッパの連合軍だと思います。

イスラム教は、金に貪欲ではありませんが、金貨、貨幣などの価値は認めながらも、紙幣は紙に書いた記号、と見なして、認めず、国際流通する貨幣は造れない文明圏だと思います。官僚も神学者が担って来たような伝統もありますし。

脱線、失礼しました。
6. Posted by ふじき78   2015年05月07日 00:24
こんちは、隆さん。
昔も今も、宗教は難儀なもんすなあ。

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