『TATSUMI マンガに革命を起こした男』を角川シネマ新宿2で観て、マンガのうごめきだなふじき★★★『ひ・き・こ降臨』をシネリーブル池袋2で観て胸糞悪いいい映画だふじき★★★★

2014年12月08日

『楽園追放』を新宿バルト9−5、『インターステラー』をミラノ座2で観て、日米ハードSF決戦だふじき★★★★,★★★(ネタバレ気味)

日米ハードSFを同日に観て、感じる所などがあったので合算して書く。

◆『楽園追放』
五つ星評価で【★★★★ハードSFの設定を使ってライトに人間と社会の関係を絵解きする】

いきなりで何だけど『インターステラー』ではちょっと涙ぐんだが、『楽園追放』では涙のカケラも浮かばなかった。話は全く違うが要素は似たものが幾つかあるにもかかわらずだ。

『インターステラー』は、ぶっちゃけて言うと、宇宙の片隅に生存可能な惑星を探しに行くパイロット親とその子供の絆の物語だ。
『楽園追放』は上流社会の捜査官がスラムで捜査する中、新たな価値観と出会い、今までの自分の価値観を揺さぶられる物語だ。

どちらも主人公に世界を揺るがしかねない事件に対するミッションが与えられ、それを解決するために新天地に赴き、自分の中の大事な何かを失いかけるという点が相似している。

何で似たような「(一番大切なものの)喪失」が描かれながら、『楽園追放』で涙が出ないのかと言うと、主人公の感情表現がアニメである事を差し引いても希薄なのだ。又、その感情を相乗するような所謂「泣き節」な音楽も背景として掛からない。ドラマ演出上も奇をてらうようなオーバーな表現はなく、実に淡々と描かれている。慟哭を描く事が目的ではないという事だろう。クールなもんだ。

では、『楽園追放』は何を描きたかったのかと言うと、爆発と乳揺れである。冗談ではない。これはこれで大事な要素だ。この爆発と乳揺れの何とも絶妙な描写。いやいやいやいや、でも、それだけではない。異文化同士のコミュニケーションの面白さもあげたい。カルチャーショックという奴だ。ざっと四つの文化層がそれぞれの異なる見識をぶつけ合う。

ー膺邑(上流階級労働者層)
▲好薀狃嗣
テロリスト
せ拉杣堊悄幣緡階級支配者層)

この中で一番穏便なのがテロリストで、一番非情なのが支配者層というパラドックスの面白さ。誰の立場に立つかによって、それぞれが正しい意見でありえる所も面白い。ここで描かれる悪は決して絶対的な悪ではない。
ブラック企業の社長は、賃金を下げてはならぬ。過剰労働も緩めてはならぬ。と言うだろう。それは間違えっぽく世間にアピールするが、極論的には、それをしているからこそ会社が潰れずに残ってきたのだ。その指針その物は程度の差を考慮しなければいけない事を除けば、それは悪ではない。それ以上に善に近いとすら言える。そんな思考の錯綜が見られるのがなかなか面白かった。乳揺れも爆発も面白かったけれど。
このカルチャーショックの面白さを減じないために、無理にドラマチックにするのは避けたのではないか。ドラマチックにすると 銑い隆愀犬料蠡仞が薄れて、誰かが善になる、誰かが悪になるの絶対性が高まってしまうから。いや、それ以上に単に乳と爆発が大事だった、それだけの事かもしれないが。

PS 捜査官アンジェラの初排尿、初排便の様子を特典映像化するなら
 ソフト高くっても買うよ、俺は。


◆『インターステラー』
五つ星評価で【★★★ハードSFの衣を被りながら重厚に人間の情愛を描く】

いや、もう、見栄を張ってもしょうがない。
分かったような、分からんような話だった。
異なる重力の下では時間の流れる速さは異なる。
うん、分からん。分からんけどルールだと言うなら、それに従おう。
すると1/6重力の月でも時間の流れは違うという事か?
映画内で語られていた「月への着陸は共産圏を破滅させる為のデマ」
というのは、映画内の世界では本当かもしれない。

はっきりよう分からんと思えるのはラスト近く、マコノヒーの決断の後、
宇宙に残されたもう一人(もしくは二人)の運命である。
この辺があまり丁寧に語られていないから、
その人が在命できた事について、ちょっとしっくり来ないのである。
まあ、よう分からん、と。
そこは監督がそんなに重点を置いてない部分だという事ではないか。
別に大事じゃない、と。そんな事より、家族の慟哭を観てよ、と。
個人的には、おいおいノーラン、ちょっとくらい爆発と乳揺れにも力……
爆発はあったな。あれはなかなか良かった。
プリーズ、乳揺れ。
アン・ハサウェイ、いい乳してただろ。

ゲホンゲホン

この物語はハードSFを背景にしながら、
人は自分の命、家族の命、人類の命のどこに重きを置くべきか、
そして、それによる奇跡(いや、奇跡だろ)を出して観客を納得させる。
そういう映画だろ、と思う。

なので、ハードSFでなくても構わない。
ハードSF的には、その統一イメージの破綻なさが徹底されている
『楽園追放』の方を強く買う。

PS ロボくん達は面白いけど、どれがどれなんだかだったし、
 極力、感情移入を避けるためにしたという、あのデザイン。
 どこか『サイレント・ランニング』くらいの
 SFデザインを引きずってる様に見える。
PS2 アン・ハサウェイが目を閉じると、
 ちょっと昭和のダッチワイフっぽい顔になるの。


【銭】
楽園追放、正規料金1800円。
インターステラー、チケット屋で招待券買って980円。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
楽園追放−Expelled from Paradise−@ぴあ映画生活
インターステラー@ぴあ映画生活
▼他の記事、読んだ後だと内容が揺れそうなので今回、初TBはなし。

トラックバックURL

この記事へのトラックバック

19. 映画「インターステラー」レビュー(五次元への逆噴射!)  [ 翼のインサイト競馬予想 ]   2015年10月30日 21:33
映画「インターステラー」のブルーレイを見たのでレビュー記事(感想)を書いてみたいと思います。(ネタバレは無しです。)YouTube 映画「インターステラー」最新予告編 ...
18. インターステラー  [ いやいやえん ]   2015年06月08日 09:20
【概略】 地球の寿命は尽きかけていた。居住可能な新たな惑星を探すという人類の限界を超えたミッションに選ばれたのは、まだ幼い子供を持つ元エンジニアの男。彼を待っていたのは、未だかつて誰も見たことがない、衝撃の宇宙。はたして彼は人類の存続をかけたミッションを
17. インターステラー  [ タケヤと愉快な仲間達 ]   2015年05月07日 06:41
監督:クリストファー・ノーラン 出演:マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ、ジェシカ・チャステイン、ビル・アーウィン、エレン・バースティン、マイケル・ケイン、マッケンジー・フォイ、ティモテ・シャラメ、ジョン・リスゴー、デヴィッド・オイェロウォ、コレッ...
16. インターステラー  [ 銀幕大帝α ]   2015年04月16日 01:35
INTERSTELLAR 2014年 アメリカ 169分 SF/ドラマ 劇場公開(2014/11/22) 監督: クリストファー・ノーラン 『インセプション』 製作: クリストファー・ノーラン 脚本: クリストファー・ノーラン 出演: マシュー・マコノヒー:クーパー アン・ハサウェイ...
15. 【BD】楽園追放 - Expelled from Paradise -  [ シネマをぶった斬りっ!! ]   2015年03月23日 12:14
【監督】水島精二 【声の出演】釘宮理恵/三木眞一郎/神谷浩史/林原めぐみ/高山みなみ/三石琴乃/古谷徹/三宅健太/遠藤大智/稲葉実/江川央生/上村典子 【公開日】2014年11月15日 【製作】日本 【ストーリー】 ナノハザードにより廃墟と化した地球。 人類の多くは地
14. インターステラー  [ だらだら無気力ブログ! ]   2015年03月19日 00:08
もの凄く見応えのある内容で大満足。
13. 楽園追放 -Expelled from Paradise-  [ だらだら無気力ブログ! ]   2015年03月19日 00:06
戦闘シーンの描写は圧巻。
12. 『楽園追放 Expelled from Paradise』  [ beatitude ]   2015年03月18日 23:27
西暦2400年、ナノハザードにより廃墟と化した地球。人類の多くは地上を捨て、データとなって電脳世界ディーヴァで暮らすようになっていた。そんなある日、フロンティア・セッター(声:神谷浩史)と名乗る者による地上世界からのハッキングで、ディーヴァが異変に晒される。...
JUGEMテーマ:邦画     公開当時、上映劇場が13館なのに初日と2日目だけで   観客動員を1万7274人も集めた『楽園追放 −Expelled from Paradise−』。   映画を見たら世界観にどんどん引き込まれ
10. 『インターステラー』  [ 時間の無駄と言わないで ]   2015年01月17日 23:20
予告編が全然面白そうじゃなかったから不安だったけど、そこで切らずにちゃんと劇場に足を運んで良かった。 ハードル下げまくって観たせいもあるかも知れないけど、凄い良かった ...
9. 「インターステラー」  [ ここなつ映画レビュー ]   2015年01月09日 16:53
結局、2014年に最後に劇場で観た作品は、この「インターステラー」と相成りました。原作未読なので、疑問に思う部分も幾つかあり、観終わったあと息子達と、ああでもない、こうでもない、と、解説し合ったり議論し合ったりしたのがすごく面白かった。近未来、土壌の変化と日
8. 「インターステラー」  [ Con Gas, Sin Hielo ]   2015年01月04日 17:49
5次元から来た男。 「インセプション」で人間の意識を階層化して表現したC.ノーラン監督が本作で見せたのは、現実世界から2つ先へ飛び越えた異界であった。 誰も見たことがない、存在するかどうかも分からない故に発想は自由で無限だ。 それは彼の脳内とおそらく一...
7. インターステラー  [ 迷宮映画館 ]   2014年12月27日 14:01
これは父の物語。
6. [映画][☆☆☆☆★]「インターステラー」感想  [ 流浪の狂人ブログ〜旅路より〜 ]   2014年12月17日 19:56
 「ダークナイト」シリーズのクリストファー・ノーラン監督、「ダラス・バイヤーズクラブ」のマシュー・マコノヒー主演。異常気象と植物の枯死により、人類滅亡の危機に瀕した近未来、地球に代わる生命が移住可能な星を探すため、宇宙へと旅立つ宇宙飛行士達の姿を描くSF
5. インターステラー ★★★★  [ パピとママ映画のblog ]   2014年12月12日 13:30
『ダークナイト』シリーズや『インセプション』などのクリストファー・ノーラン監督が放つSFドラマ。食糧不足や環境の変化によって人類滅亡が迫る中、それを回避するミッションに挑む男の姿を見つめていく。主演を務める『ダラス・バイヤーズクラブ』などのマシュー・マコ...
4. インターステラー  [ Akira's VOICE ]   2014年12月11日 10:13
マシュー・マコノヒー最高!マット・デイモン最低!w  
3. 『インターステラー』 (2014)  [ 相木悟の映画評 ]   2014年12月11日 01:21
壮大なるテンコ盛りSFラブ・ストーリー! 哲学っぽい内容ながら、普遍的な感動を呼ぶスペース・エンターテインメントであった。 本作は、ハリウッド気鋭のヒットメーカー、クリストファー・ノーラン監督作。『メメント』(00)というユニークな作品で世に出た監督ら...
2. 『インターステラー』 スピルバーグ版とのラストの違い  [ 映画のブログ ]   2014年12月08日 23:24
 【ネタバレ注意】  運動の第3法則: 前へ進むためには何かを後へ置いていかなければならない。  ラザロ計画――それはクリストファー・ノーラン監督の傑作『インターステラー』で描かれるプロジェクトの名前だ。そのネーミングには、複数の意味が込められているに
1. インターステラー  [ 映画的・絵画的・音楽的 ]   2014年12月08日 07:10
 『インターステラー』をTOHOシネマズ渋谷で見ました。 (1)本作(注1)は、『ダラス・バイヤーズクラブ』でアカデミー賞主演男優賞を獲得したマシュー・マコノヒーが出演するというので、映画館に行ってきました。  本作の時代設定は近未来。  地球上の穀物は大砂嵐...

この記事へのコメント

1. Posted by クマネズミ   2014年12月08日 07:09
お早うございます。
Wikipediaの「アポロ計画陰謀論」によれば、あの大槻義彦(物理学者、早稲田大学名誉教授)までもデマ説を支持しているとのことですから、どうやら「映画」の世界を飛び出してしまっている感じがしますが、どうでしょう?
2. Posted by ふじき78   2014年12月08日 22:50
こんちは、クマネズミさん。
今日「ナルト」を見に行ったら、ナルトくんが忍術で月まで行って宇宙服も付けずに大活躍(ナルト世界の月は空気があるし、重力も地球と変わらない)してました。だから、もう、あまり細かい事にこだわらなくてもいいような気がします。
デマかデマじゃないか、よく分からないですが、頑張れば忍術で行ける所なんですから。
3. Posted by ナドレック   2014年12月09日 01:43
>すると1/6重力の月でも時間の流れは違うという事か?

そうですね。月と地球くらいではたいした違いは生じませんが。

この現象を上手く使えば、光源氏は幼い若紫と同い年になれるかも。
4. Posted by ふじき78   2014年12月10日 01:12
こんちは、ナドレックさん。

映画の中で見聞きした事だけを頼りに考えると、惑星の重力圏内と圏外(衛星軌道)で時間の速度が違っていたので、距離に関係なく、重力の比重で時間速度が変わるのかと思ったのですが、それにしては到着した惑星でそれほど重力差があるような描写がなされていませんでした。謎です。例えば地球内で物凄く低重力、もしくは重重力の区域を人為的に作る事が出来たなら、その中では時間の流れは変わるんでしょうか?
 うーん、よう分かりません。
5. Posted by ナドレック   2014年12月13日 14:41
主人公たちが降り立った惑星は人間の生息に適すると考えられた星ですから、重力も地球とあまり変わらないと思います。
時間の遅れが生じたのはガルガンチュアの影響だったかと。本作の科学解説本が出版されているので、それを読めば巨大ブラックホールの存在が時間にどう作用したのか具体的に判るのかもしれませんが、劇中ではざっくりした説明でしたね。
仮に地球のどこかに高重力地域を作ればそこだけ時間の流れが変わるかもしれませんが、それを観測する間もなく地球が瓦解してしまうと思います。
6. Posted by ふじき78   2014年12月14日 07:07
こんちは、ナドレックさん。
そんな事はちゃんと映画の中で言ってくれないと

「だめよ〜、だめ、だめ」

ふう、今年のうちに今年の流行語をどうにか使い納める事ができた。

そう言えばツイッターで「予習が必要な映画」って流れて多のは、この辺りの事なんでしょうね。マコノヒーが「んん〜ん」と歌ったり、ストリップしたりすれば、重力も吹っ飛ぶと思うんですけど。ふっ飛ばしていいかどうかは別にして。
7. Posted by sakurai   2014年12月27日 14:00
やっと、きちんとPCの前に座って、ブログいじる気持ちになりました。
ちょいと、映画のことと離れたくなった感じ。

ということで、復活!です。

昭和のダッチワイフ!!って。
分かるなあ〜。

たぶんに、ノーランからしたら、この倍くらいの時間をかけたかったのでは、、と想像します。
これでも言い足りないでしょうね、きっと。
6時間くらいのバージョンを見たいです。
8. Posted by ふじき78   2014年12月27日 22:20
こんちは、sakuraiさん。

昭和のダッチワイフ、あれはあれで味があっていいんですけどなー。お世話になった事はないし、お世話方面ではあまり食指は働かないですけど。

私、映画は短ければ短いほど嬉しい。
もう、脳髄が必死に長い映画を拒否しますね。
9. Posted by ここなつ   2015年01月09日 16:53
こんにちは。
「インターステラー」は、がちがちの文系の私にとって、逆にとーってもハードルの低い設定で楽しめました。
だって、物理学的に違う、とか反論できないもの。
親子の愛、というけど、頑なに故郷(=家)を守ったケイシー・アフレックにも意外とぐっときました。でも、最終的には放置されていましたねぇ…やはりビジュアル的なものでしょうか…?
「不思議の国のアリス」みたいに、未知の世界を漂うのは、少女と相場が決まってますものね。
10. Posted by ふじき78   2015年01月10日 00:42
こんちは、ここなつさん。
どんな大事件でもマコノヒーが『マジック・マイク』のあの踊りを踊れば何となく解決してしまう気がします(多分、気がするだけ)。
11. Posted by ヒロ之   2015年04月16日 01:37
こんばんは。
壮大な「愛」のドラマではありますが、アホな私にはイマイチよく分からない話で、期待した程余り展開に入り込めなかったインターステラーでありました。
12. Posted by ふじき78   2015年04月17日 22:33
こんちは、ヒロ之さん。
私も「イントゥ・ザ・ステラ」だと思ってたので、ステラおばさんの中に挿入する話かと………ゲホンゲホン。
13. Posted by タケヤ   2015年05月07日 06:43
結構に壮大なテーマの割には
うまくまとめられていて面白かった
かなあと。

ふじきさんが言うような部分もあまり
気にならなかったし。

アン・ハサウェイの・・・ 知ってましたよ(笑)
14. Posted by ふじき78   2015年05月07日 20:43
> アン・ハサウェイの・・・ 知ってましたよ(笑)

それを見る為だけの映画を見に行ったもんだ。
15. Posted by maki   2015年06月08日 09:27
こんにちは
ごりごりのハードSFなのに単語の意味がはっきりと理解できてなくてもストーリーに付いていけるという親切設計がありがたかったです
169分、前半はちょっと長いなと思いましたが、
一転宇宙にいってからは一気でした
16. Posted by ふじき78   2015年06月08日 22:55
こんちは、makiさん。
私も分からん物は山のようにあるけど、そういうのあまり感じさせないのがそこそこよかったです。

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
『TATSUMI マンガに革命を起こした男』を角川シネマ新宿2で観て、マンガのうごめきだなふじき★★★『ひ・き・こ降臨』をシネリーブル池袋2で観て胸糞悪いいい映画だふじき★★★★