2010年07月18日

『必死剣鳥刺し』を渋谷TOEI,粘僂訝砲佞犬

よおし、じゃあ俺は「ゆとり剣つくね」だあ!
続編はサイボーグとして蘇ったモニカ吉川が
百姓の生首をダンゴ三兄弟にした剣で藩政に殴り込みをかける。

初っ端からターボ全開でくだらない嘘吐きまくりの私ですが、
映画は詫び寂びが効いてて、思った以上によく出来てて感心しました
(そっと上から目線だ)。

ただ、映画としては次の三つの点で独立性が低いんじゃないか、とも思いました。

一点目。下でトラックバック貼らせてもらってるKLYさんのサイトに
書いてあって、はっとしたんですが(ハナからパクリだ)、
主人公が免許皆伝の腕前である事が後半にならないと分からない。

二点目。愛妾の連子様が死んだ後も藩の状況がいっこうによくならない
事が明確に描かれていない。

三点目。豊川悦司演じる武士の性格が、豊川悦司の
「いつもの律儀なトヨエツ」に吸収されてしまっていて、
この映画ならではのキャラ立てが感じられない。
何故いい人なのか、何故立派な人なのかが最後まで不明のまま。

一点目と二点目は予告で補完されてるし、
三点目も豊川悦司の演技に説得力があるから見過ごしてしまうのだけど、
独立した映画としてはやはり明らかに不足してると思うのだ。

やっぱり冒頭、豊川悦司に
「いやあ、僕は剣豪でいい男の兼見三左エ門、
これから僕の藩政大改革作戦が思ったようにいかなかった
ドジっ子暗殺っぷりの話なんかを聞いてくれるかな、るんるん」
とか語らせるべきだったか。

なんて事を言いながら、トヨエツかっこいいっす。
別にホモじゃないから半裸が多くても興奮とかしないけど。
ただ、トヨエツの池脇千鶴に対する態度には猛省を促したい。

力を入れてる殺陣のシーンは圧巻。
平山監督は『魔界転生』で、異様に近い間合いを撮った犯罪歴があるので、
ちょっと心配してたけど、今回は良かったです。目を離せませんでした。

あと、予告から目を引いてて、凄く気になってたのが
関めぐみの我儘姫様っぷり(正確には殿様のおめかけさん)。
出番は少ないけど、これがムチャクチャよかった。
まあ、本人は嫌かもしれないけど、あの目力が強い大きな目で、
ズケズケと非道なことを言ってのけるのは凄く似合う。
優しそうな声色とのアンバランスもいい。
又、あでやかな着物がこれでもかとばかりによく似合ってた。

そう言えば、以前、堤真一と豊川悦司はどっちがどっちの役をやっても
成り立つと書いた事があるけど、基本的に『孤高のメス』『必死剣鳥刺し』でも
その意見は変わらない。
ただ、出来上がる映画のニュアンスはガラっと変わるに違いない。

堤真一の『鳥刺し』は武士と言うより、もうちょっと長屋の町人テイスト、
それでも藩政を正しくする事に意欲を感じており、青く若い正義の火を燃やす。
つまり、大人なんだな、トヨエツは。


【銭】
常設ダフ屋で買った東映の株主券6回分2500円、そのうち1回で入場。

▼作品詳細などはこちらでいいかな
必死剣鳥刺し@ぴあ映画生活
▼この記事から次の記事にトラックバックを付けさせて貰ってます。お世話様です。
必死剣鳥刺し@LOVE CINEMAS調布
必死剣鳥刺し@カノンな日々
必死剣鳥刺し@映画のブログ
必死剣鳥刺し@狂人ブログ

PS KLYさんのサイトのコメントに私が考える必死剣・鳥刺しの秘密を書きました。
PS2 池脇千鶴がALOHAと縁取られた信じられないような和服を着て現われなかった事には、密かに1ポイントだ。


fjk78dead at 01:27│コメ(6)トラバ(4)映画 

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この記事へのコメント

1. Posted by KLY   2010年07月18日 04:09
確かにトヨエツは大人だ!(笑)
関めぐみの目力は素晴らしいですよ。正直あんまり可愛らしい役だとかは出来ないでしょうけど。顔立ち的には市川実和子、目力てきにはりょうってな感じがします。
ついでに言うならあの目に対抗できるのは岸部さんだけでしょう。現代劇だろうと時代劇だろうと、嫌な役やらせると日本一だと思います。悪人顔とはよく言いますが、やなヤツ顔ってあんまりいないですし。(笑)
2. Posted by fjk78dead   2010年07月18日 22:42
こんちは、KLYさん。

トヨエツは大人ですね。子供っぽい『サウス・バウンド』でさえ、子供な大人だし、『愛の流刑地』なんか大人じゃなきゃ演じられないし(あれは堤真一じゃきつ……いや、誠実を前面に出せばどうにか)。

> 関めぐみの目力は素晴らしいですよ。正直あんまり可愛らしい役だとかは出来ないでしょうけど。顔立ち的には市川実和子、目力てきにはりょうってな感じがします。

でも、ハチクロとかもやってるし、マヌケを前面に出した『彩恋』なんかけっこう好きです。誰も話題にしなかったけど、あのハリウッド版『ドラゴン・ボール』にも出てたし。

岸部一徳さんのあの表情のなさは「日本無表情グランプリ」があったら、日本を越えて世界一です。というか、表情たっぷりの岸部一徳って全く思い浮かばない。岸部一徳に関めぐみの目を移植したら禁断の生物になってしまう気がする。
3. Posted by クマネズミ   2010年07月29日 05:28
ふじき78さん、私のブログにコメントをいただきありがとうございます。
こちらのブログでは、トヨエツの「大人」性を巡ってKLYさんのコメントがありますが、ふじき78さんの「堤真一と豊川悦司はどっちがどっちの役をやっても成り立つ」との見解は凄くユニークですね!そして、例えば『今度は愛妻家』を堤真一がやったらと考えるだけで、「出来上がる映画のニュアンスはガラっと変わるに違いない」でしょうから、結局、ふじき78さんが「大人なんだな、トヨエツは」とおっしゃっている点は、すんなり受け入れることが出来ます!
なお、ふじき78さんが私のブログのコメントでおっしゃるように、冒頭の「拍手」については、確かに、「どこかで西洋の話を聞いた連子様が筋違いなのにやってしまった」可能性はあるでしょう。ただ、それに皆がすぐに同調したというのは、裏日本の海坂藩の藩士が皆西洋の事情によく通じていたことが背景として想定されているからなのでしょうか?
4. Posted by fjk78dead   2010年07月30日 00:43
こんちは、クマネズミさん。
何かとりあえず恐れ入ります。
こんな時に限って『今度は愛妻家』見てないし。

さて、貴ブログでの「日本ではそもそも舞台に拍手する習慣がなかったのに…」という話題の件ですが(詳細知りたい方はクマネズミさんの名前に付いてるLINKを辿ってください)、何となくこんな感じかなあ。

「お、おいおい。何だか連子様が舞台に大きくかしわ手を打ってるぞ。何だろう。い、嫌がらせかなあ。あ、と、殿様も。あれ、殿様笑ってらっしゃるぞ。老中の方々も追随してらっしゃる。よく分からんが、これは乗り遅れてはなるまいぞ」

会話が成り立つ老中あたりは知っててもおかしくないかなあ、と。
ただ、全くもっての想像に過ぎないんですけど。

この追随感がトヨエツの出世作『12人の優しい日本人』みたいではある。
いかがでしょう?
5. Posted by クマネズミ   2010年08月01日 07:32
ふじき78さん、再度ご返事をいただき、誠にありがとうございます。
つまらないことに拘って恐縮至極です。おっしゃるように「かしわ手」という見方もできるのですね!
もうこの話はこれ以上いたしませんが、ご参考までに下記のサイトの記事をお読みいただければと思います。

「風流ことばあそび塾」のコラム「ことばのお洒落 お洒落なことば」の「拍手と柏手」(2006.12.13)
http://doraku.asahi.com/kiwameru/word/column_061213.html
6. Posted by fjk78dead   2010年08月01日 09:59
こんちは、クマネズミさん。

何にでも調査結果があるってのはネットの凄いとこですね。
いい加減に書いた「武士の追随」なんで単なる偶然なんですが
かしわ手が邪気を払う為の物であるなら、たった今まで
見せられていた演目に対して、邪気を払ってしまう訳だから、
そういう慣習がないならイヤガラセですよね。
つまり、演じ終わった舞台に塩を巻いて清めるような行為だから。

宴会なんかで、合いの手に入れる手拍手(あ、て・はくしゅだ)の
速度が速まって拍手になっちゃうなんて現象も、
ここ最近の風潮なんでしょうねえ。

拍手について、もう一つだけついでに書いてしまうと『江戸の牙』という
TVドラマの殺陣のシーンに物凄く高速のハウスラップに使うような手拍子が
BGMに使われていて、再放送で観て、いたく感動したもんです。


> もうこの話はこれ以上いたしませんが、


というような気遣いは特に不要ですよ。
書きたいなら書いてもらって、まあ、ふに落ちたという事であれば、終ってもらって(ただ、私自身が学級の徒的な人間じゃないので、ずっと雑談になっちゃうのは致し方ないんですが)。

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